ショートケーキのイチゴを一番最初に食べるか、最後までとっておくか。心理テストやら性格分析やらでよく使われる題材ですが、性格なのか、単に幼児心理というやつか、二歳児の甥っ子は真っ先に苺を食べて、母である姉の顔をまじまじ。姉が自分のケーキの苺を甥っ子の皿に置くと、またたく間にそれも食べて、ちょっと手持ち無沙汰そう。ケーキは食わないのか? 私のケーキからも苺を動員させると、
「あ、ごめんね。わかちゃんに『ありがとう』は?」
「……とー!」
もじもじと「礼」を言われて、ちょっと不思議な気分になりました。なんだろう、食べ物を直接的に与えて礼を言われるのって、新鮮だ。思わず、スポンジの間に挟み込まれた苺もほじくり出して与えたくなります。甥っ子が本体を食べ始めたので、しなかったけど。
第十二回・苺
2013年4月19日
今年もらった誕生日プレゼントは燻製卵、塩、塩クッキー、日本酒、茶葉……そんな佐藤和歌子がお届けするショートコラムです。もらってばかりじゃありません。たまにはあげることもありますよ。