佐々木蔵之介と高橋克典を比べ続けた友人
数年前にシンガポールに移住してしまった友人女性は、とにかく佐々木蔵之介のことが大好きだった。彼の魅力を伝える時、生理的に受け付けないとする高橋克典との比較を繰り返していたのだが、佐々木と高橋をどういう座標で比べていたのかがイマイチわからなかったのだ。マッチョとか濃さとか、いくつかの克典成分を持ち出してみることはできるのだが、人が誰かのことを「克典成分薄め」で好きになるはずはない。それなのに彼女は高橋克典と比較することを止めず、その理由を細かく聞き出す前にシンガポールへ旅立ってしまった。
一体、どういった座標に、佐々木と高橋を置いたのだろう。個人的に、高橋克典に対して特段の思いはなく、多くの人が記憶しているのと同様に『サラリーマン金太郎』『特命係長 只野仁』という2つのヒットシリーズをそれなりに堪能してきた。人気がうなぎ上りの俳優が歌を出しちゃう傾向は今に続いているが、自分の学生時代、その手の俳優が「ロック好き」を標榜してくることへの嫌悪感を抱きつつも、FM yokohamaでやっていた藤木直人の番組で繰り広げられるロック談義を毎週欠かさず聞いていた歴史を隠しはしない。高橋克典の2枚目のシングルが「逆光線に射ち抜かれて」で、アクセル踏んで飛ばしているクルマの中で、逆光線に射ち抜かれて君を見失う、という歌詞だったのを知って「運転中に危ないな」と感じたことを、今改めて語るべきだとは思わない。