赤坂のカエル

第16回】SANGOになりたくて 前編

Web編集者・中川淳一郎さんのエッセイ。フリーになりなんとかかんとか食っていた中川さんでしたが、なかなか生活は楽になりません。そこで中川さんが考えたのが、Tシャツの製造・販売でした。時は2000年初頭、世が裏原ブームに湧いていた時代。裏原のカリスマ・藤原ヒロシ氏に顔がそっくりなことから名付けられたNIGO(2号)氏デザインの、猿のTシャツが大流行していたころのお話です。

エイプが売れているから

前回、インチキイラストレーターとなり、荒稼ぎ(月9枚描いて36000円)をした話を書いたが、その流れでイラストの話を続けよう。元々私が博報堂を辞めた理由は、忙し過ぎたことと、出世できないことが27歳にして分かってしまったことだと述べた。そして、1300万円の金融資産があったこともそれを後押ししたとも説明した。実はもう一つ強力な後押し理由があったのだ。

それは、「Tシャツ長者」になる夢があったためである。2000年頃は「裏原宿」(裏原)とやらが流行っており、原宿のおしゃれファッションブランドがバカ売れしている時代だった。その中の象徴的存在がNIGOさんのブランド「Bathing Ape」だった。若くして億万長者になったNIGOさんを雑誌記事などで見て、「よし、オレもTシャツ長者になる!」と考えたのだ。これは会社を辞めることを決めた11月よりも前の話である。

夏にTシャツ屋と打ち合わせをし、2種類のデザインのTシャツを発注した。そのうちの一つが以下の画像のTシャツである。カエルを描いたものの、これではカエルに見えないため、「ケロケロケケケケ」と鳴き声を入れ、それでもカエルに見えないなぁ、と思ったためダメ押し的に「カエル」と説明書きを入れた。さらに、スケベ心を出し、外国人にも売ろうと考えて「Tokyo」と書き、あたかも東京土産のようにしたのである。

会社員でいながら、不労所得を得ようとたくらんだのだ。そして、販売に使おうとしたのは、インターネットである。kerojapan.comというドメインを取得し、そこでECをしようと考えたのだ。

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中川淳一郎

ライター、編集者、PRプランナーとして『NEWSポストセブン』などのニュースサイトの編集を手がける中川淳一郎さんのエッセイ連載! 日本のウェブ業界で、強烈な存在感を放つ中川淳一郎は、いかにして中川淳一郎になったのか。その生き様を赤裸々...もっと読む

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コメント

unkotaberuno @NK0725 @unkotabenai 2000年~2007年までネット通販し、36枚しか売れませんでした。はい。その通りです。SANGOになりたくてやりました。ガハハハハ。当時の顛末、cakesに書いてます。 https://t.co/0XNKjVuR7e 3年以上前 replyretweetfavorite

R30 「本当にTシャツを作れるのか分からなかった」とか、、、嫌な予感しかしないwww/SANGOになりたくて 前編|中川淳一郎| 約5年前 replyretweetfavorite

sadaaki 中川淳一郎さん @unkotaberuno の連載も最高なのでぜひぜひ。NIGOの次を目指したお話です。/SANGOになりたくて 前編|| 約5年前 replyretweetfavorite

hirofus 続きが気になるぜ!→SANGOになりたくて 前編|中川淳一郎| 5年以上前 replyretweetfavorite