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「女と結婚した女だけど質問ある?」
っていうタイトルで連載させていただいて、もうすぐ4年になります。
こんなに連載が続いたのは、今これを読んでくださっているあなたを始め、読者さんがいらっしゃるから。そして、一番最初に声をかけてくださったcakesの担当編集さんが、こんなにもわかりやすいタイトルをつけてくださったからでもある、と思っています。いつも、ありがとうございます。
でもなんか私ね、このタイトルで4年書くうち、自分がこういうふうにモノを言っているようにも思えてしまっていたのね。
「あら〜! 私、結婚っていうゴールにたどり着いたわよぉ〜うふふ! あなたもこうなりたいでしょ? どうすれば私みたいに幸せになれるのか知りたいでしょ? 質問があれば教えてあげるわ〜」
上から目線ならぬ、妻から目線と言うのかしら。「結婚こそ、みんなが目指すべきハッピーエンドです!」っていう価値観を上から押し付ける既婚者の一人に、私もなってしまっていたんじゃないかと思って。
ということで、今回ご紹介するのは、「周囲に結婚というスタンダードな幸せを押し付けられるうち、自分のオリジナルな幸せがなんなのかわからなくなってしまいました」というご投稿です。
この連載エッセイ、おかげさまで書籍化するんですが……タイトルを、「ハッピーエンドに殺されない」といいます。結婚する人も、しない人も、したい人も、したくない人も。「結婚こそがハッピーエンド!」って叫ぶ声に、本当の気持ちを押し殺されないために。結婚相手に頼り切らない、自分自身の幸せを掴むために。どうすればいいのか、一緒に考えていきましょう。
さて、こちらが今回のご投稿です。
いつも楽しく読ませて頂いています。 牧村さんの言葉で、自分が同性を好きでもいいんだ、自分の気持ちを大切にしていこう、と思えるようになりました。
でも、やはり、社会の目は厳しいもので、会社では「早くいい人見つけなよ」「一生独身のつもり?」「女の人を追いかけて意味あるの?」と自分の心配をしてくれているようで、全くありがた迷惑な言葉をかけられて傷ついてしまいます。 ただ、自分もこのままで人生どこに向かうのか。幸せになれるのか。幸せとはなんなんだ。という思いもあって鬱々としてしまいます。
幸せは人それぞれと言いますが、それはどうやって探すのでしょうか? もう自分が何をどうしたいのか分からなくなってきてしまいました。いっそ男の人と家庭を築いた方が幸せのような気もしてきました。これからどうすればいいのか……自分も分からない事が周りに分かる訳ないと思うのですが、こんな私に一言でも助言を頂けたらと思います。
(ご投稿を全文そのまま掲載しました)
しあわせ。
ああ、しあわせ。
これについて、今まで、どれだけの人が考え続けてきたことでしょうね。
「幸せの青い鳥は意外と近くにいるんです」っていうメーテルリンクの童話「青い鳥」から、「君が其処に生きてるという真実だけで幸福なのです」って椎名林檎が歌った「幸福論」まで。人類、ずっと幸せを追い求め続けていると言っても過言ではないんじゃないかしら? ほら、ポルノグラフィティだって、「幸せについて本気出して考えてみた」って曲を出してますし。
話がJ-POPに寄り過ぎたので戻します。
ご投稿者の方もおっしゃる通り、幸せは人それぞれなんですよね。メーテルリンクも、ポルノグラフィティも、「幸せ、これじゃね?」ってヒントこそくれますが、それであなたがこれから一生バッチリ幸せになるわけでは多分ない。どうも、幸せについては、少なくとも下記二つのことが言えそうです。
・人それぞれのものである。
・他人から与えられるものではない。
にもかかわらず、なぜ、ああなぜ、ご投稿者の周りの方は、結婚を勧めてくるのか。
「早くいい人見つけなよ」
「一生独身のつもり?」
「女の人を追いかけて意味あるの?」
これって、要するにこういうものの見方なんでしょう。
・誰しも結婚してこそ幸せになるんだよ。
・結婚相手が幸せをくれるんだよ。
いや、それはそれで、そういう、結婚相手がもたらしてくれる受動的幸せを信じる自由もあるんでしょうけど。それを私に言われても、私は白馬の王子さまを待ってるのなんかイヤよ? って気持ちに、なるんですよね。
ということで、「異性と結婚すればいいのに」系のことを言われたら、こういう風に受け止めるようにしています。
(それがあなたの幸せなんですね〜)
私は、そうやって異性との結婚を勧めてくる人が、たとえばさんざん妻に威張り散らかしたあげく妻が倒れた時に洗濯機ひとつ回せない人だったり……要するにいろんな意味で結婚相手なしでは生きていけない人だったりするのを見てきました。「(異性と)結婚すればいいのに」は、その人がその人の価値観を語っている時に出る発言なんですよ。
だから、それはそれで正しいんでしょう。協力しあって生きることは美しいと思う。でも私は、私個人は、「結婚相手が倒れたら洗濯機も回せない〜」とか、「お金に困っちゃう〜」とか、「寂しすぎて精神的に無理〜」とか、そういう風にいるのは、やめよう。って思ってて。
私は、ちゃんと愛したい。他者を自分の幸せのためのツールにしたくないんです。だから、「男は稼いで女は家事」っていう結婚をする人を見下して優越感に浸ることもしない。経済的・精神的・生活的な面で、結婚相手に頼り切ることもしない。
究極、「無人島に一人で放り出されても大丈夫度」を上げていきたいんです、私。無人島に一人だと、男が狩りで女が家事〜〜とかなんとか言ってられないでしょ? 自分で鳥でも捕まえてさばいて料理して食わないと死ぬでしょ? それができる体力や視力や判断能力などなどが私にいつもいつでもあるとは限らないわけですが、それが至らなくて死んじゃうにしたって、こう思えるくらい精神的に自立したい。