彼が風俗を利用する人であることが許せません

昨日、牧村さんの新刊『ハッピーエンドに殺されない』が発売されました。発売を機に、この連載のタイトルを「女と結婚した女だけど質問ある?」から「ハッピーエンドに殺されない」にリニューアル!

さて、今回、牧村さんのもとには、「たとえ交際中でなくても、彼氏が風俗を利用する人間であることが許せない」というお悩みが届きました。牧村さんはなんとこたえるのでしょうか。


※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。

彼氏の風俗。いわゆる恋愛コラムでは、よく出てくるテーマかもしれません。このcakesでも、林伸次さんの連載で「なぜ男は風俗に行くのか?」、フェル先生の連載で「風俗で性病をもらってきた夫と、どう向き合うべきか」など、それぞれ違った形で複数回取り上げられています。

今回こちらの連載にお寄せいただいたのは、もっと、そもそものお話。「たとえ交際中でなくても、彼氏が風俗を利用する人間であることが許せない。女を金で買うことにためらいがないのか」というご投稿です。

今交際している男の人がいます。次は何を話そう?と考えるのが楽しいです。でも最近許せないなと思うことがあります。それは、彼が恋人がいない時風俗を利用する人間だということです。

私達は性的な事柄についてもよく話すのですが、その流れで風俗の話になりました。最初は合理的な性的欲求の解決方法だな。それもいいな、と思ったのですが、その場所を実際に見たら認識が変わりました。そこでは私と同じ歳くらいの外国人の女の子が綺麗に化粧してお酒を飲んでいて、でも彼女らは私とは違って「売り物」なのです。あの光景を見て例えば日本より貧しい国に生まれたというだけで、それしか選べない女の子がいるのだということに気づかされました。

私と付き合っている間は行かないのでしょうし、それはいいのです。でもそういう場所に行って、女の子を買うことに躊躇いがない人ということが許せません。ただ、彼もその罪悪自体は認識しているようで、しかし性欲は生じるものであり仕方ないと割り切っていたそうです。男女間の性欲格差と言われるとそれ以上何も言えない気がしてしまい、この問題を自分の中でどう処理したらいいか困っています。

(一部編集の上、掲載しました)

ご投稿、ありがとうございます。

「女を金で買うという搾取構造の是非」についてまで議論できる男性とお付き合いなさっていること、それはきっと、楽しいでしょうね。世の中には、すぐ「批判された!」って受け取っちゃって、「しょうがねえだろ!」でキレて会話を終わらせてしまい、話が成り立たない人もいると思うので。

さて、そんな素敵な彼氏さんだからこそ、なんとか良い関係を築きたいですよね。それでは、ご投稿から考えていきましょう。

突然ですが、あなたは、タイやベトナムで縫製された安価なファストファッションを着ますか?

百円均一でMADE IN CHINAの工場量産製品を買いますか?

スーパーでフィリピンのバナナが1房68円で叩き売られているのを買いますか?

私の答えは、全部「はい」です。今現在、ベトナムの工場で縫製されたおパンツを履いてこの原稿を書いています。安かったです。

イヤだと思うでしょうか? そんなことは不正義だと思うでしょうか? 私はそう思います。だから、私は最近、きちんとデザイナーさんにお金を払ってフルオーダーのお洋服や雑貨を作ったり、フェアトレード[※]のバナナを買ったりという購買行動を、できる範囲で心がけるようになりました。
※フェアトレード……直訳すると「公正な貿易」。バナナを例に取るなら、「フィリピンの物価を考えれば○円くらいで買い叩いても十分だろ」と足元を見ることをせず、日本国内の農家を相手にするのと同じ価格帯で交渉すること。

でも、フェアトレードのバナナっていくらすると思います?

ひと房300円くらいするんですよ。

そんなバナナ〜!

そんなバナナ ¥300を買って「うふふ、フェアトレードだわ。私って公正」みたいな顔ができるようになるまでには、ずいぶん68円のバナナで食いつながせてもらいました。フィリピンの農家さんだけでなく、それを輸送するドライバーさん、販売する小売店販売員さんの賃金にもきっと響いたことと思います。

それを自覚しつつも、私は68円のバナナで食いつないだ。そして、自分も時給750円とかで働いたり一記事150円とかから書く仕事を始めたりして、なんとか300円のバナナを買える30歳になったんです。

搾取しないためには、搾取するしかない世の中だと思うんです。もともと300円のバナナを買えるお嬢様でも、おうちがその資産を形成するまでに、なにがしかの搾取をしていないとは言えないでしょう。これは「仕方ない」ことです。でも「仕方ない」と開き直っては何も変わりません。なのでぜひ、「仕方ない。だけど、最小限にするにはどうすればいいんだろう」と考えたいことだと思います。

そんな中で、特に風俗のことが、ご投稿者の方は気になるとおっしゃいますね。

私と同じ歳くらいの外国人の女の子が綺麗に化粧してお酒を飲んでいて、でも彼女らは私とは違って「売り物」なのです。あの光景を見て例えば日本より貧しい国に生まれたというだけで、それしか選べない女の子がいるのだということに気づかされました。

風俗は合理的だとお考えでいらしたけれども、実際に性風俗産業に従事する外国人女性たちを目の前にして、「それしか選べない女の子」の存在に気付かされたと。

なるほど。

ここでお伺いしたいのが、なぜ「それしか選べない」とお思いになったのか、です。

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ハッピーエンドに殺されない

牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

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コメント

suisuiayaka この連載を読むといつも、心が正しい位置に戻される気がする。骨盤矯正に近い。 2年弱前 replyretweetfavorite

a_tocci だから、私は最近、きちんとデザイナーさんにお金を払ってフルオーダーのお洋服や雑貨を作ったり、フェアトレード[※]のバナナを買ったりという購買行動を、できる範囲で心がけるようになりました。https://t.co/tgvbFc0hFG 2年弱前 replyretweetfavorite

a_tocci イヤだと思うでしょうか? そんなことは不正義だと思うでしょうか? 私はそう思います。https://t.co/tgvbFc0hFG 2年弱前 replyretweetfavorite

a_tocci 私の答えは、全部「はい」です。今現在、ベトナムの工場で縫製されたおパンツを履いてこの原稿を書いています。安かったです。https://t.co/tgvbFc0hFG 2年弱前 replyretweetfavorite