以前の記事では、日本人は相手との関係性の構築において、共通の所属組織や共通の体験などの「場」の共有を重視し、「ウチ」と「ソト」がその行動原理に関係していると説明しました。以下は私の著書「不寛容社会」からの抜粋なのですが、文化が異なると行動原理というのは随分ちがうのです。
以前説明したように「場」のかわりに「資格」を重視する文化圏というのも存在します。例えば、欧州の場合、「資格」を特に重視するのはドイツ人やオーストリア人、スイス人など、ドイツ語文化圏の人々です。
ドイツ語圏では名刺の肩書が異様に長いことがあります。特にエンジニアや何らかの技術的専門家の場合、「私は某の専門家です」という肩書が名刺に長々と書かれています。
伝統的な人の場合には、メールの署名にも「修士号取得」「博士号取得」「なにがしのエンジニア」と書いてあります。英語圏では、修士号を持っていても名刺やメールの署名欄に書くことはないので、びっくりされることがあります。
その一方でその「資格」重視と対極なのが、地中海沿岸の人々なんです。彼らは資格やロジックでは動きません。重要なのは「今その瞬間に何を感じているか」です。
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