アカデミー賞に300作以上をノミネートさせた大物
有名な映画プロデューサーのハービー・ワインスティーンが、レイプとセクシャルハラスメント疑惑でついにハリウッドを追放されることになった。
ハービー・ワインスティーンは、1979年に弟のボブと一緒に創設したミラマックスで数々のインディ作品を成功させ、『恋におちたシェイクスピア』ではプロデューサーとして初のアカデミー作品賞を受賞した。
ほかにも『パルプ・フィクション』、『イングリッシュ・ペイシェント』、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』、『ギャング・オブ・ニューヨーク』、『シカゴ』、『キル・ビル』、『英国王のスピーチ』など、日本でも有名なアカデミー賞受賞作や大ヒット作を次々と産み出した。
2005年にミラマックスを退社して弟のボブと「ワインスティーン・カンパニー」を創設するまで、ハービーは約250もの作品をアカデミー賞にノミネートさせている。ワインスティーン・カンパニーを始めてからの業績を合わせると、ノミネート作品は300を超える。
ニューヨーカー誌に告発記事を書いたローナン・ファロー(女優 ミア・ファローの息子)は、ハリウッドでのハービーの影響力を次のように見事に表現した。
「(毎年恒例のアカデミー賞のステージで)受賞者から感謝の言葉を捧げられる数のランキングでは、スティーブン・スピルバーグの次で、神より上」
それほどの力を持つハービーを追い詰めるきっかけになったのが、10月5日のニューヨーク・タイムズ紙の記事と、10月10日のニューヨーカー誌の記事だった。
これらで明らかになったのは、30年にわたるキャリアで、ハービーが女優、会社のアシスタント、アルバイトなど弱い立場にある女性をターゲットにしてレイプを含む性暴力、セクシャルハラスメントを行ってきたことだった。
被害者は異なれ、パターンはほぼ同じだ。
女優や映画関係者を仕事の話し合いと称してホテルの部屋に招き、裸でのマッサージやそれ以上の性行為を要求する。断っても、別の行為を要求し続け、断ったときの報復を匂わせる。そして、場合によっては性行為を強要、あるいはレイプするというものだ。
ハービーの行為は、ハリウッドでは誰もが耳にしたことがある「公然の秘密」だったという。だが、これらの記事で人々が驚いたのは、アシュレイ・ジャッド、ローズ・マッゴーワン、ミラ・ソルヴィノ、ロザンナ・アークエット、ジェシカ・バースといった有名な女優たちが名前を出したことだった。
引き続きグウィネス・パルトロウやアンジェリーナ・ジョリーたちも被害者として名乗りを上げ、それに励まされるかのように、多くの犠牲者が声を上げるようになった。10月20日の現時点では被害者の数は50人以上に達している。
たいていの犠牲者は黙り込んだ
なぜハービー・ワインスティーンは30年以上も公然とセクハラや性犯罪を行うことができたのだろうか?
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