誰かが動かす心臓の不思議

心臓はドクンドクンと健康に動いてくれれば安心……ですが、一体我々の知らないところでどんな働きをしてくれているのでしょうか。今回とりあげるのは心臓と血液の関係。実は白血球にも血液型が存在し、白血病で行われる「骨髄移植」はかなり過激な治療だと言われています。その過程と仕組みを見てみることにしましょう。医療小説の名手・久坂部羊センセイが、謎がいっぱいの人体の世界へ案内します。

進化とともにバージョンアップした心臓

循環器系とは、要するに血の巡りに関わる臓器のことです。

主役はもちろん心臓です。心臓は我々の知らないところで、昼も夜も休まず、生まれてから一瞬たりとも止まらず、身体中に血を送り続けてくれています。

心臓は四つの部屋からなっています(図‒5)。左右の「心房」と左右の「心室」です。心房は血液が返ってくるところ、心室は血液を送り出すところです。心房と心室が二つずつあるということは、血液の流れるルートが、二系統あるということです。すなわち、左心室から「大動脈」を通って全身を巡るルート(「体循環」)と、右心室から「肺動脈」を通って肺を巡るルート(「肺循環」)です。

なぜそんなふうになっているかというと、「ガス交換」(血液に酸素を取り入れ、二酸化炭素を排泄する)の効率がいいからです。

魚類にはこのルートが一系統しかないので、心房と心室が一つずつしかありません。だから、血液に酸素を取り入れるのは、全身をまわる途中でエラを通ったときに、ついでにということになります。これではゆっくり酸素を取り入れることができません。両生類は一・五系統で、心房は二つですが、心室は一つしかありません。ですから、肺で酸素を取り入れた血と、全身を巡って酸素を減らした血が混ざり、効率がよくありません。

爬虫類では心室に不完全な壁があり、鳥類と哺乳類では完全な壁ができて、進化とともに心臓もバージョンアップしたことになります。

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久坂部 羊

ようこそ、ミステリアスな医療の世界へ――。本講座では、モーツァルト、レクター博士、手塚治虫、ドストエフスキー、芥川龍之介、ゴッホ、デビットボウイなど、文学や映画、芸術を切り口に人体の不思議を紐解いてゆきます。脳ミソを喰われても痛くない...もっと読む

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elba_isola |久坂部 羊|カラダはすごい! モーツァルトとレクター博士の医学講座 すごく頭が良かったら、せめて算数のセンスがあったら医師になりたかったなーと最近思う。こういうのさらっと解説するってすごい。 https://t.co/dloZqSsiAF 12ヶ月前 replyretweetfavorite

suerene1 へええ、犬には13種類以上の血液型があるんだって!犬の血液型正確判断しようと思ったら大変ねぇ。 →  https://t.co/CVaC3W79Jl 12ヶ月前 replyretweetfavorite

thinktink_jp "血液型で性格がわかるというような話もよく聞きますが、熱心なのは日本と東アジアの一部の国だけで、欧米などでそんなことを言うと、..." https://t.co/XZyKDxb0KR https://t.co/LRHYSjl2lw #drip_app 12ヶ月前 replyretweetfavorite