神田松之丞“絶滅危惧職”講談師を生きる!

最終回 真打という近い将来に思うこと

東京の演芸界では、若手の男性講談師が希少な存在である。神田松之丞は、絶滅危惧職と言っていいほどに成り手の少なくなった、その講談師だ。真打という近い未来を見据えて、彼はこれからどこに向おうとしているのだろうか。電子書籍文芸誌「yom yom」に掲載された人気連載を出張公開!

 松之丞の目は、はるかに先を見据えている。しかし現時点で足りないものも多い。その第一は、志を同じくする仲間だ。講談界の将来を考えるのであれば、後輩の存在は不可欠だろう。人的資源は現時点で圧倒的に不足している。何しろ〈絶滅危惧職〉なのだから。

「何人かは昔の僕と同じで前に回って聴いているかもしれない。でもまだ、弟子入り志願するには決め手がないと思うんです。僕だって将来、真打になったらすぐ弟子を取れるかといったらそれは難しい。僕自身の真打としての役目を果たすことが先ですから。取らなくちゃいけないだろうとは思いますけどね。ただ、今落語芸術協会は人が多くなってきていて、将来的には講談師の前座をそんなに受け入れられないかもしれないんです。僕は寄席でしか育ってないから、もし弟子が来たら同じ環境でやらせてあげたいし、環境が違ってきたら自分とは別の方法を模索しなきゃいけない。そういう悩みはあります。僕自身も、こんなチンピラ芸じゃなくてもっと変わって、師匠みたいにどっしりと構えていられるようにならないといけない。師匠には及ばなくても、その一合目か二合目かわからないですけど、そっちのほうの今とは違う山を登んなきゃいけなくなってくるでしょうから、その苛立ちもすごいでしょうしね。だからそのときはそのときでまた悩むと思います。ただ、弟子というよりも同志に来てほしいですね。同志が来ることによって僕自身も変わるでしょうし、講談師の数が増えれば、プロデューサーとしてやれることもいろいろある。どうやって全体を上げていくか、ということですね」

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今、最もチケットの取れない講談師の革命的芸道論、ついに書籍化!

絶滅危惧職、講談師を生きる

神田 松之丞,杉江 松恋
新潮社
2017-10-31

この連載について

初回を読む
神田松之丞“絶滅危惧職”講談師を生きる!

神田松之丞 /新潮社yom yom編集部 /杉江松恋

ここ数年、演芸ファンの注目を集め続けている男がいる。 神田松之丞、1983年生まれの33歳。90年代以降、東京の講談界では入門者の多くが女性であり、日本講談協会にも、もう一つの講談団体である講談協会にも、彼以降に入門して現在まで現...もっと読む

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yomyomclub 松之丞さん連載公開!|[今なら無料!]演芸界でもっとも熱い男、講談師・神田松之丞の革命的芸道論! 約3年前 replyretweetfavorite

yomyomclub すみません更新遅くなりました。心打たれる 約3年前 replyretweetfavorite