お金に不自由しなければ人間は自分の好き勝手に生きる

もしも、あの時あの人と結婚していれば……そんな記憶を持つ年配の独身女性5人と同席した百鳥ユウカさん。ここにいる人たちは未来の自分なのか、あるいは……。お金に不安がなくなったことで自由な独身生活を送れる特権を得た彼女たちと百鳥ユウカさんの邂逅が始まる……!

公民館の和室に集まって開かれていた「サワディ茶話会」はユウカの突然の問いかけによって、シンと静まり返った。

参加している女性たちは、各々顔を見合わせている。

なぜ、そうなっているのか理由を知らないユウカは誰かに直接聞いてみたかったが、相手が5人もいるので、誰に聞いてよいかもわからなかった。

「この中で平林荘にお住まいのご経験があるのは、どなたですか?」

ユウカがあらためてそう尋ねると、5人ともゆっくり手をあげた。

「あれ、全員ですか……?」

さっきまで、自分の子どもの留学事情を話していた片山智恵子がユウカに聞いた。

「ユウカさんって言ったっけ? 悠次郎さん、いえお父様のどんなことをお知りになりたいの?」

「いえ、知りたいのは父の恋人で……名前はわからないんですけど」

「ここにいる人は、あなたのお父さんのことはみんなよく知ってるわよ。その恋人のことは知らないけど」

「どういう意味ですか?」

さっきの不動産投資の相談会ではあまり口を開かなかった猪子由美という女性がか細い声でその質問に答えた。

「あなたのお父さまは、良い人よ」

平林さんが、固まった空気をほぐすように、全員とユウカに対して説明めいた言葉をゆっくりと話し始めた。

「ユウカさん、ごめんなさいね。実はあなたを今日ここに呼んだのは、私たちの思いをあなたにだけは知ってほしくてきてもらったのよ」

きょとんとしたままのユウカだったが、そう言われて首を縦に振った。

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結婚できない2.0〜百鳥ユウカの婚活日記〜

菅沙絵

友人たちが彼女につけたあだ名は「レジェンド・ユウカ」。結婚市場に残された最後の掘り出し物という意味だと説明されたが、たぶん揶揄する意味もある。妥協を知らない彼女が最後にどんな男と結婚をするのか、既婚の友人たちは全員興味深げにユウカさん...もっと読む

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