63歳でチアダンスチームを作るまで。 私の半生を駆け足で(2)

85歳になる現在も現役で、華麗にステップを踏み、ターンを決める。 「やりたいことをやって人生を楽しみましょう」と毎日を楽しくアクティブに送る滝野さん。
広島生まれ、大阪育ち。疎開地の長野で終戦を迎え、女学校時代は宝塚に夢中になります。 短大で初めて経験した乗馬にハマり、乗馬がやりたくて関西学院大学に編入。卒業後の、1年間のアメリカ留学ですっかり「アメリカかぶれ」の女の子になっていたそうです。

砂を噛むような結婚生活

 そして25歳で結婚するのですが……。  
 夫との出会いは短大時代。叔父が自宅で開いていた社交ダンスの会で知り合いました。長い間、私にとってはただの顔見知りの男性だったのですが、向こうは私に夢中だったようです。  
 今思えば当時からあまり好きではなかった気もするのですが、「年上だから父のように頼りになるだろう」「そこまで思ってくれるなら」と結婚を決意。そして、これが、そもそもの間違いのはじまりとなります。  
 もともと性格が合わなかったのでしょう。夫はすでに亡くなっていて、反論できない人のことを悪く言うのはフェアでないのですが、彼は基本的に自分のことにしか関心のない人でした。無責任で責任転嫁が上手。自分の母親の残してくれた少なくない遺産をすべて株ですってしまっても、私に一言もなし。働くことが嫌いなのに、出世できると思っているあまちゃんさん。世が世なら、それで通用したのかもしれませんが。

 日常の瑣末なことから子どもの教育など家庭内の大切な問題まで、ことあるごとに夫への違和感、うっぷんはつのっていきました。  
 結婚して1年後に長女を29歳のときに長男を出産。子どもたちも大きくなったので言えますが、2人目の子は「離婚」の文字が頭をもたげる自分を落ち着けるため、なんとか生きていくために産んだようなものです。

 というのも、実は私の父には外にも家庭があり、母は常に不機嫌で、なにかにつけ父を責め立てていました。幼少期からいつも家庭内には大変なもめごとがあって、私を含めきょうだい4人、ずっとつらい思いをしてきました。だから、子どもができたら絶対に離婚はしない!と、心に決めていたのです。  
 また、父に感情をそのままにぶつける母の姿を見ていたので、夫への不満を本人には決して言うまいとも思っていました。そのため、外からは一見、なんの問題もない平穏な家庭に見えていたかもしれません。でも、押さえつけた気持ちはストレスとなり、日々、私の中に澱のように積もっていきました。

 夫との生活は砂を.むようなものでしたが、東京オリンピックの2年前に、夫の転勤で東京に来て、なんとなく少し精神的に楽になりました。  
 たまたま見ていたテレビで紹介されていた、外国人に英語で観光ガイドをする通訳案内士に興味を持ったのも、何かに挑戦しようと思える余裕が出てきたからなのかもしれません。

 夫に許可をもらい、週に3日、子どもたちの面倒は甥っ子に頼み、夕飯の準備を整えてから、資格を取るために高田馬場にあるYMCAに通いはじめました。3か月後に夫から「まだ、行くのか」と言われ、途中で諦めざるを得なかったのですが、ダメもとで試験を受けてみたらなぜか合格。ホント、不思議とツイているんです、私。
 実際のガイドの仕事も一度だけ経験しました。もっとも、子どもたちを見てくれる人にお礼をすると、手元に残ったのが500円。「だったら、もういいや」とそれっきりで辞めてしまいましたけど。  娘が小学6年生のときに世田谷に家を建てて、父の会社の東京営業所に週2回くらいのペースで手伝いに行きながら、何を焦っていたのか、ありとあらゆる習い事に手を出しました。
 ゴルフをやったり、帽子を作るカルチャーセンターに行ってみたり、習字をしたり木彫りをしたり。外国人に日本語を教える日本語教授法という資格をとったりもしましたが、40代はホント、時間とお金を無駄遣いしました。 もったいない!

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85歳のチアリーダー

滝野文恵

「何歳からでも人生は楽しくできるのよ!」 滝野文恵さんがシニアダンスチーム「ジャパンポンポン」を立ち上げたのは63歳のとき。85歳になる現在も現役で、華麗にステップを踏み、ターンを決める。「良妻賢母」の枠にとらわれて苦しんだ時期を乗...もっと読む

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コメント

moxcha 時代を感じるエピソードが満載。こういうのは広く読まれてほしいなあ。 約3年前 replyretweetfavorite