ぶあついレンズのむこう。
−あれが演劇の始まり?−

【第25回】記憶の中で繰り返されるあのシーン。あの子は、ぶあつい眼鏡をかけていて、ぼくと一緒に放課後のグラウンドにいた。——彼女のゆらゆら揺れる視界の中で、ぼくはいったい何がしたかったんだろう・・・。

乱視の女子がいた。ぶあついレンズの眼鏡をかけていた。ひととの距離感が大変そうで、いつも廊下をふらふら歩いていた。ひょろりと、手足は長細い。身長は高いほうだった。

でも筋肉がぜんぜんなさそうで、だから体育はすこぶる出来なかった。跳 び箱もとべない。さかあがりもできない。

彼女のお兄さんは野球をしていて、しかもピッチャーだった。いつも近所のグラウンドで学校の先生をやっているお父さんとキャッチボールをしていたのを憶えている。そんなお兄さんがいるのに、彼女は運動できない。

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おんなのこはもりのなか

藤田貴大
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2017-04-13

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演劇界のみならず、さまざまなカルチャーシーンで注目を集める演劇作家・藤田貴大が、“おんなのこ”を追いかけて、悶々とする20代までの日常をお蔵出し!「これ、(書いて)大丈夫なんですか?」という女子がいる一方で、「透きとおった変態性と切な...もっと読む

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thinktink_jp "彼女のお兄さんは野球をしていて、しかもピッチャーだった。いつも近所のグラウンドで学校の先生をやっているお父さんとキャッチボー..." https://t.co/FeGYzxGBlU https://t.co/u5YFgqYW53 #drip_app 3年弱前 replyretweetfavorite