藤田貴大
夜中、コンビニにて。
−きみを蹂躙するのは誰?−
【第24回】異国から来て、コンビニで働くきみ。それを執拗に見てしまうぼく。無神経なオトコたちに腹を立てつつも、真夜中、目の前で起きるちょっとしたドラマになすすべもないのだけど・・・。
近所の、いつも立ち寄るコンビニの店員の顔は、だいたい把握しているから、誰が新入りか、なんてこともすぐにわかるんだけど、かなり体格のいい、ぼくよりもだいぶ背が高い、体重も相当ありそうな女子がはいったのだ、最近になって。
ぶあついレンズの指紋だらけの眼鏡をかけていて、髪の毛はちりちりのが伸びっぱなしみたいなかんじで、清潔ではない。レジスターの操作にもまだ慣れていなく、名札を見ると、研修中の文字の下には、日本人ではない名前が書かれている。だからか、日本語もたどたどしい。ピンク色のラメで蝶々模様が施されたジーンズを、しかもタイトな型だから太ももの肉厚ではち切れんばかりになっているのを、いつも穿いている。
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この連載について
藤田貴大
演劇界のみならず、さまざまなカルチャーシーンで注目を集める演劇作家・藤田貴大が、“おんなのこ”を追いかけて、悶々とする20代までの日常をお蔵出し!「これ、(書いて)大丈夫なんですか?」という女子がいる一方で、「透きとおった変態性と切な...もっと読む
著者プロフィール
1985年生まれ、北海道出身。桜美林大学文学部総合文化学科にて演劇を専攻、2007年に『スープも枯れた』でマームとジプシーを旗揚げ。2011年に発表した三連作『かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと、しおふる世界。』で第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2013年『てんとてんを、むすぶせん。からなる、立体。そのなかに、つまっている、いくつもの。ことなった、世界。および、ひかりについて。』で初の海外公演。さまざまな分野のアーティストとの共作を意欲的に行うと同時に、中高生たちとのプロジェクトも積極的に行っている。主な演劇作品は『あ、ストレンジャー』『cocoon』『書を捨てよ町へ出よう』『小指の思い出』『ロミオとジュリエット』『sheep sleep sharp』など。著書に『おんなのこはもりのなか』『Kと真夜中のほとりで』がある。