兼松佳宏(「greenz.jp」編集長)→中原慎一郎(ランドスケーププロダクツ代表) Vol.2「『ソーシャルデザイン』には何が必要ですか?」

今回インタビュアーとして登場するのは、「あなたの暮らしと世界を変えるグッドアイデア」を紹介するウェブマガジン「greenz.jp」編集長の兼松佳宏さん。その兼松さんがインタビュー相手として選んでくれたのは、インテリアショップ「Playmountain」や、喫茶店「Tas Yard」などを運営し、住宅や店舗、オフィスなどのデザインも手がける「ランドスケーププロダクツ」の代表、中原慎一郎さん。近年は故郷・鹿児島でも精力的に活動し、異色の鹿児島ガイド本「ぼくの鹿児島案内」などの出版も手がけている中原さんに、兼松さんが聞いてみたいこととは?

どんな気持ちで地元に関わっていますか?

Q. 震災以降、「コミュニティ」という言葉がよく使われるようになり、その重要性が語られるようになりましたが、中原さんは以前からご自身の著作などで「コミュニティ」ということについて言及されていますよね。

中原:その本(『僕らのランドスケープ』)の中では、「コミュニティ」というものを、規模の大小は関係なく、自立している人間同士の集まりで、それぞれの役割を自覚しながら、お互いが心地良くなれる関係性といったイメージで書きました。実際に面白いコミュニティというのはそうやって作られていくということを実体験してきたところがあったし、自分が田舎育ちだからこそそういうコミュニティ観が備わっているのかなということを、独立してからより考えるようになりましたね。海外などでも感じることですが、最近はそういうことを意識しながら、実践的に形にしようとしている人たちが多いですよね。そこから色々学ばせてもらいながら、自分の地域だったらどのやり方が当てはまるかなと考えたり、自分たちの会社や友達でやれる規模で実践している感じです。

Q. 中原さんの出身地である鹿児島での活動には、どんな気持ちで関わっていますか? 僕は秋田出身なのですが、いつか「故郷に錦を飾りたい」という思いが漠然とあるような気がします。

中原:実はあまりそういうものではないんですよね。自分がそれをやりたいかやりたくないかということがまずは重要で、自分がやった方が楽しくなるんじゃないかという思いから始めていたりするので。だから、特に鹿児島に限定はしていないし、実際に最近は九州全体のネットワークも強まっていて、福岡など他県の仕事も増えていますね。

Q. 僕は大学の時に上京したのですが、とにかく秋田を出たくて「とりあえず東京」という感じでした。いまでこそ素敵な活動が秋田にも生まれつつありますが、当時の僕には他の選択肢がなかったんです。いま鹿児島にいる若い人たちはいかがでしょうか?

中原:自分でどこまで認識しているかは別にして、みんな(地元を)好きだと思います。これまではそれをアピールするということまでは考えていなかった人たちが多かったんですが、最近は少しずつ変わってきているなと感じます。僕も若い頃は兼松さんと同じような意識で東京に出てきたのですが、いまの子たちは(東京に)出てこないですからね。鹿児島でお店を始めたくらいの時期にちょうど悩んでいた若い子たちが、僕らの活動を見て、鹿児島で自分のお店を開いたりしているんですね。自分たちの小さな活動がちょっとずつ注目されて、若い人たちが地元を選択してくれるというのはうれしいことです。僕らがやっていることを見て、自分たちだったらこれができそうかなと思い浮かべることができたんじゃないかなと思っています。

Q. 一昔前まで、極端に言えば、上京した後に地元に戻る=「夢破れて都落ち」のような、あまりポジティブではないイメージがあったように思います。でも、最近は僕の周りも含めて前向きに地元に戻る人も増えていますね。出戻り組がまた新しい風を吹き込んで、どんどん面白くなっているように思います。

中原:そうですよね。先ほどのコミュニティの話じゃないですが、地元だと自分の役割みたいなものを実感できると思うんですね。東京にいると、どうしても競争社会のなかに降り立つという感覚になってしまいますよね。僕らもそれをなくしたいから喫茶店などを作って、街の役割を背負っていきたいという思いがあるんです。自分がやっているお店をすべての世代に利用してもらうのはなかなか難しいけど、集まってきてくれる人たちに対しては、自分の役割みたいなものをちゃんと感じることができますからね。


鹿児島で開催されたイベント「GOOD NEIGHBORS JAMBOREE」。

「ソーシャルデザイン」には何が必要ですか?

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