神田松之丞“絶滅危惧職”講談師を生きる!

第十四回 人のつながりで講談も変わっていく

東京の演芸界では、若手の男性講談師が希少な存在である。神田松之丞は、絶滅危惧職と言っていいほどに成り手の少なくなった、その講談師だ。真打という近い未来を見据えて、彼はこれからどこに向おうとしているのだろうか。電子書籍文芸誌「yom yom」に掲載された人気連載を出張公開!

 この連載の第一回では松之丞がその一員として加わっている、落語芸術協会の二ツ目ユニット〈成金〉の隆盛をお伝えした。もちろん、松之丞が個人で開催している会も紀伊國屋ホールなどの大きな会場を満員にする人気ぶりである。

「こんな急速に大箱でできるようになると思わなかったです。二ツ目なんて、そば屋さんの二階でやるのがせいぜいだと思うんですよ。二十人入れば多いくらいの感じで。ところが今はSNSが盛んなこともあって、松之丞面白いよ、って誰かが言ってくれたら口コミで拡散してどんどん来てくれる。もうちょっと時間かかるかなと思ったんですけど、意外に早くこの状況になりましたね。〈渋谷らくご〉以降は特に早かったです」

 芸人で落語通のサンキュータツオがプロデューサーを務める〈渋谷らくご〉は、若者の街で人気落語家が出演する会を定期的に開催し、これまでにない客層を集めることに成功した。松之丞は第二回からほぼレギュラーとして出演している。

「ただ、情報の伝播は早かったんですけど、まだ自分のほうのインフラができてないんです。今は慌ててそれを整備している状況ですね。落語のインフラが充実してるんで、それと一緒にやるしか現時点では手段がないんです。講談だけで独立してやるのは難しいですから。とりあえず、神田松之丞が面白い、でいいやと。人的資源がないので、僕がアイコンになるしかない。それで興味を感じたら、次は師匠が出演する寄席に行ってみてください、今のうちに聴いてください、と誘導する。まずはお客さんを作らないといけないですから。こういう講談師を見た、という歴史をその人たちの思い出に残したいんです」

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絶滅危惧職、講談師を生きる

神田 松之丞,杉江 松恋
新潮社
2017-10-31

この連載について

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神田松之丞“絶滅危惧職”講談師を生きる!

神田松之丞 /新潮社yom yom編集部 /杉江松恋

ここ数年、演芸ファンの注目を集め続けている男がいる。 神田松之丞、1983年生まれの33歳。90年代以降、東京の講談界では入門者の多くが女性であり、日本講談協会にも、もう一つの講談団体である講談協会にも、彼以降に入門して現在まで現...もっと読む

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