旅先での美術館をちっとも楽しめないあなたへ
『イメージを読む』若桑みどり
(筑摩書房)初出1993
絵は完成で見るもの VS 絵は知識で読むもの
モナリザの秘密やルネサンスの謎。絵は見るだけじゃなく、読めるものなんだ! と教えてくれる美術史入門。#美術鑑賞の入門書#なのになんだかスリリング #ルネサンス芸術専門家 #西洋絵画の図像学解説 #ミケランジェロ #ダ・ヴィンチ #デューラー #ジョルジョーネ #絵画の隠された謎 #芸術のことをもっと深く知りたい人へ #海外旅行で美術館へ行く前に読みたい一冊♪
モナ・リザのモデルは誰だろう? —もはや使い古されたTシャツみたいな、古典的な芸術史の謎である。
あなたはモナ・リザの絵を見たことがあるだろうか? 不思議に微笑んでいて、こちらをじっと見る女性。黒い装束に身をつつみ、その背景はぼんやりしている。
こんなに有名な絵画でたくさんの研究者がその謎に挑んでいるのに、モナ・リザのモデルはいまだに不明だ。すこし芸術に詳しい人なら、そのモデルがダ・ヴィンチの想い人だったとか、はたまた自画像の女装バージョンだったとかいう説を知っているかもしれない。
『イメージを読む』の著者、若桑みどりさんもまた、その謎に挑むひとりの研究者である。
ダ・ヴィンチの作品は、なぜ今の時代の私たちの心にも響くのか?
「ふつう肖像画なら身分がわかる格好をさせるのが普通なのに、モナ・リザは指輪もアクセサリーもつけない、ただの黒い服を着た女性だ」
「背景もどこかちぐはぐで、場所を特定できない」
「よく見るとモナ・リザのお腹はすこし膨らんでいる」
—言われてみれば、たしかに。
若桑さんはこれらの条件から、「『モナ・リザ』の謎は、『神のいない宇宙観』だ」と説明する。
ダ・ヴィンチは、神の名のもとに戦争も科学も政治も行われていた時代にあって、例外的な無神論者だった。
—それがどれほどすごいことで、だからこそダ・ヴィンチの作品は今の時代の私たちの心にも響く絵画となったのか、と、この本を読めばわかってもらえると思う。
わかりやすくおもしろい美術史の入門書である『イメージを読む』の中で、若桑先生はこう言う。
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