美術館が、退屈でなくなる。ダ・ヴィンチが隠した謎とは?

京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う名著を選んでみた。13作目は、若桑みどりの『イメージを読む』。芸術を見るだけではなく、「読める」ようになるためのまるで語学参考書のような一冊。『人生を狂わす名著50』より特別連載。作家、有川浩も推薦! →公開は毎週木・金です。

旅先での美術館をちっとも楽しめないあなたへ

『イメージを読む』若桑みどり
(筑摩書房)初出1993

絵は完成で見るもの VS 絵は知識で読むもの

モナリザの秘密やルネサンスの謎。絵は見るだけじゃなく、読めるものなんだ! と教えてくれる美術史入門。#美術鑑賞の入門書#なのになんだかスリリング #ルネサンス芸術専門家 #西洋絵画の図像学解説 #ミケランジェロ #ダ・ヴィンチ #デューラー #ジョルジョーネ #絵画の隠された謎 #芸術のことをもっと深く知りたい人へ #海外旅行で美術館へ行く前に読みたい一冊♪


 モナ・リザのモデルは誰だろう? —もはや使い古されたTシャツみたいな、古典的な芸術史の謎である。
 あなたはモナ・リザの絵を見たことがあるだろうか? 不思議に微笑んでいて、こちらをじっと見る女性。黒い装束に身をつつみ、その背景はぼんやりしている。
 こんなに有名な絵画でたくさんの研究者がその謎に挑んでいるのに、モナ・リザのモデルはいまだに不明だ。すこし芸術に詳しい人なら、そのモデルがダ・ヴィンチの想い人だったとか、はたまた自画像の女装バージョンだったとかいう説を知っているかもしれない。
『イメージを読む』の著者、若桑みどりさんもまた、その謎に挑むひとりの研究者である。

ダ・ヴィンチの作品は、なぜ今の時代の私たちの心にも響くのか?

「ふつう肖像画なら身分がわかる格好をさせるのが普通なのに、モナ・リザは指輪もアクセサリーもつけない、ただの黒い服を着た女性だ」
「背景もどこかちぐはぐで、場所を特定できない」
「よく見るとモナ・リザのお腹はすこし膨らんでいる」

—言われてみれば、たしかに。
 若桑さんはこれらの条件から、「『モナ・リザ』の謎は、『神のいない宇宙観』だ」と説明する。
 ダ・ヴィンチは、神の名のもとに戦争も科学も政治も行われていた時代にあって、例外的な無神論者だった。
—それがどれほどすごいことで、だからこそダ・ヴィンチの作品は今の時代の私たちの心にも響く絵画となったのか、と、この本を読めばわかってもらえると思う。
 わかりやすくおもしろい美術史の入門書である『イメージを読む』の中で、若桑先生はこう言う。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

作家、有川浩も推薦! 知らない本が知れる。知っている本は、もっとおもしろくなるブックガイドです。

この連載について

初回を読む
三宅香帆の文学レポート

三宅香帆

『人生を狂わす名著50』(ライツ社刊)著者、三宅香帆による文学レポート。  ふと「いまの文学の流行りをレポート」みたいな内容を書いてみようかなと思い立ちました! なんとなく、音楽や映画だと「ナタリー」みたいな流行をまとめる記事っ...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

zoukeionline この言葉にガツンとやられます。 「芸術にいちばん似ているのは人間です。」 https://t.co/GJ1K0ebPbZ 1年以上前 replyretweetfavorite

m3_myk われわれは一目でこの芸術に圧倒され、戦慄さえおぼえるのですが、その理由を知るには知性を働かせなければならない。 (『イメージを読む』若桑みどり、ちくま文庫) https://t.co/eklOuwzKXQ 1年以上前 replyretweetfavorite