平日の公民館には夢があふれてる

父の昔の恋人を探して、平日の公民館にやってきた百鳥ユウカさん。そこでは年配の女性が集まって独特の雰囲気の中、あることについて熱気あふれる議論がかわさていた。

ユウカの知ってる父親は、いつも自分の部屋で過ごしている人というイメージだが、人づてに聞く父親は、親近感はあるものの、それでいて得体の知れない気持ち悪さがある。

父親の昔の恋人探しから始まった冒険は、思いも寄らず、平日の公民館へと至った。父・悠次郎の住んでいたアパートの大家さんから聞いた今日の集まりは、昔の父を知ってる女性も参加するそうだ。

母には友達と会ってくると告げて、家を出た。

「みんな、あなたみたいにフラフラしてないんだから、あんまり迷惑をかけじゃだめよ」

母という生き物はなぜああやってイヤミを入れるのが上手いんだろう、と思い口答えをしようと思ったが、ここは大人しく「はいはい、わかりましたよ」と言って玄関の扉をあけた。

先日、電話で話をした平林さんが指定した公民館は、ユウカの家から自転車で20分ほどの距離にあった。

公民館の入り口の自動ドアを抜けると、目の前にホワイトボードが置かれていて、この日の行事予定が黒いマジックで書き込まれている。

会議室がA、B、Cと3部屋あって、それぞれヨガ教室や自治会の会合、カードゲーム同好会など様々な団体が会合を開いているのがわかった。

平日の昼間なのに、どこもいっぱいなことにユウカはまず驚いた。調布は郊外といっても東京のベッドタウンだから人口は多い。それを抜きにしても、すこし離れた場所ではあくせく働いている人が大勢いるのに、こんなに悠々自適に暮らしてる人がすぐ近くにいるっていうことは、東京の不思議なところだな、と思った。

ユウカ自身もいまは定職についていないから、端から見たらこの人たちのお仲間なのかもしれないけど、母の言う通りフラフラしているだけだから、とても仲間ではなくて心から羨ましいなと思っていた。

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結婚できない2.0〜百鳥ユウカの婚活日記〜

菅沙絵

友人たちが彼女につけたあだ名は「レジェンド・ユウカ」。結婚市場に残された最後の掘り出し物という意味だと説明されたが、たぶん揶揄する意味もある。妥協を知らない彼女が最後にどんな男と結婚をするのか、既婚の友人たちは全員興味深げにユウカさん...もっと読む

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