正しいとされる家族の形
今回のテーマは「子どもは欲しいが、結婚するのは嫌」である。
自分の人生であるし、家族の形も人それぞれ、方法も昔と違って今はいろいろある。己がそう思ったなら、そうすればいい。
以上が全力で炎上を回避する模範解答だ。もちろん正しいことを言っているのだが、そういう新しい家族の形が世間一般から見ても当然となるのにはまだ時間が相当かかるだろう、明日にでも、同性婚や、シングルママパパ、専業主夫、抱き枕やフィギュアとの結婚が当たり前になる、ということはまずない。
私が生きている内に、この玄関に飾っている「ねんへし」と結婚することは叶(かな)わぬのか、と思うと暗澹(あんたん)たる気分だが、社会も人の意識も一瞬では変わらない、今のまだまだ不自由と思える社会でさえ、時間をかけてできたものである。ゆっくり根気強く、抱き枕への愛は本物で結婚は正しいことだと、世間を納得させていくしかない。
つまり「家族のカタチも人それぞれ!」と口では言う社会になったものの、やはり「婚姻届を出している異性婚の夫婦と2人の実の子ども」という家族構成がスタンダードとされているし、それから外れた家族は「ワケアリ」と見なされ、他人に「kwsk」されてしまうことも少なくない。
私自身は「既婚子なし」だ、ちなみに夫はフィギュアではない。よって「子どもはまだ?」という質問は避けられない、と言いたいところだが、驚くほど言われない、結婚して8年ぐらい経たつが、いまだかつて他人にそういうことを言われたことがない、今まで言ってきたのは「実の母」のみだ、その母でさえ「言ったところでどうにもならないので——そのうち母は言うのをやめた」と「2回」でカーズ様状態になってしまったので、もはや誰も言う人はいなくなった。
これが「子どもの製造に関する質問はハラスメント」である、という意識が広がった結果なら喜ばしいことだ。だが、半分はそうだとしても、あと半分は私がコミュ症だからだと思う。何故なら「子どもは?」と聞いてくる人に悪意がある場合はそうない、悪意があるなら仕方がない。不愉快にさせる目的で言われて、見事不愉快になったら「作戦大成功!」とカメラに向かってダブルピースする他、なす術がない。
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