早期の胃がんは本当に「早期」だったのか?

胃がんは日本人に多いがん。早期であれば5年生存率は90%を超えると言われていますが、逆に言うと10%の患者は早期でも亡くなってしまうということです。それは一体何故なのでしょうか? 医療小説の奇才・久坂部羊さんが「胃腸」をめぐるウソ・ホントに迫ります。
大食いの人の胃はどうなっているの? 胃潰瘍の原因はストレスだけではない? 十二指腸がんにはなかなかお目にかかれない? 今回もトリビアが満載です!

ダイエットの禁じ手「胃縮小手術」

胃は大きい臓器なので、各部分に名前がついています(図‒2)。

「胃底」は胃の上部なのに〝底〟というのはおかしいと思うでしょうが、手術のとき、仰向けの状態にするとこの部分がいちばん深い場所になります。身体を起こしている状態では、胃底はゲップの溜まる場所です。ゲップはほぼ100%、口から呑み込んだ空気なので、減らすには空気を呑み込まないようにする以外にありません。

「幽門」は胃の出口で、十二指腸に続く部分です。「幽門輪」という括約筋がついていて、十二指腸に送る食べ物の量を調節しています。

私は若いころ、胃カメラの検査を習得するのに、まず自分で受けてみようと思い、指導医に胃カメラを入れてもらったことがあります。モニターで自分の胃の中を見るのは妙な気分で、これが自分の胃だという実感はまるでありません。「噴門」から順に奥へ進み、幽門に来ると、粘膜の噴火口のような穴が開いています。指導医が胃カメラの先端を十二指腸に進めようとすると、幽門輪がくっと閉じます。仕方なく胃カメラを引くと、ぽっかり口を開けます。ふたたび胃カメラを近づけるとまた閉じる。

指導医に申し訳ないので、私としては幽門を開きたいのですが、まったく思い通りになりませんでした。

なるほど内臓は「不随意筋」でできていることを納得した次第です。

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コメント

s_1wk 「いつも腹八分目にしておくと、胃は少しずつ縮み、小さくなるから少しで満腹に近くなり、食べる量が減るからさらに胃が小さくなる」 約1年前 replyretweetfavorite