携帯キャリアの決算を読むコツ~スマホ時代の差別化戦略、肝は何?

noteで好評連載中の「決算が読めるようになるノート」を、ビジネスモデル別に再編集した書籍『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』。今回は「第6章:携帯キャリアの決算」の中身を少しだけご紹介します。

携帯キャリアのビジネスは、シンプルに説明すると「キャリア側が敷いた電波網・通信網を携帯電話ユーザーに貸し出し、利用料を得る」というものです。ですからユーザーを増やし、利用頻度を上げることがビジネスの基本路線であり、 成功の方程式は広告ビジネスや個人課金ビジネスと同じように

売上=ユーザー数×ユーザーあたりの売上(ARPU=Average Revenue Per User)

となります。

決算分析で着目するべきは「3つのARPU」

ただ、携帯キャリアにおけるARPU(アープと読みます)は以下の3つに分類されます。

  • 音声ARPU
  • データARPU
  • サービスARPU


「音声ARPU」というのは、いわゆる「通話料」に相当する部分であり、「デー タARPU」はデータ通信量に相当する部分です。

日本のような先進国では、携帯電話がほぼ上限に近いくらい普及しているため、通話時間そのものは増えにくくなっています。それにIP電話などの廉価な代替手段も台頭してきたため、「音声ARPU」は横ばい〜減少傾向となるトレンドです。

他方、データ通信量は、スマートフォンの普及や通信技術の進歩によってうなぎ登りに増えており、これからも指数関数的な増加が見込まれます。通信量あたりの料金は(技術革新と価格競争により)下がる一方ですが、「データARPU」を上げるための努力を各社が続けています。

ただし、携帯キャリアは規制産業ゆえ、各社ともサービスレベルが同程度になるように集約されていきます。それゆえ、「データARPU」でも差別化が非常に困難です。

そこで各社が力を入れているのが「サービスARPU」を上げること。かつての「i モード」のようなビジネスモデルは、日本のお家芸とも呼べる(呼べた)ものです。AppleがApp Storeを立ち上げる際に参考にしたと言われるほど、「サービスARPU」を上げることにおいては秀逸でした。

しかし、ガラケーからスマートフォンへの移行が進むにつれて、携帯キャリアとユーザーとの「直接的な接点」は減り続けています。皆さんがスマートフォンで使っているアプリは、AppleやGoogleのストアから配信されており、「サービス」の提供主はアプリ配信元とストアを運営する企業になるからです。

つまり、携帯キャリアの決算を見る際は「ユーザー数もARPUも増やすのが非常に大変である」という前提を理解しておく必要があります。

この記事では、こうした背景の中で、3大キャリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)がどのような差別化戦略で収益を上げようとしているのかを決算から読み解いていきます。

3大キャリアの主要指標を比較すると見えてくるもの

携帯キャリアビジネスは、インフラビジネスである上に規制産業でもあるので、インフラへの投資が必要な半面すさまじく儲かります。一方で、上に記したように、携帯電話先進国である日本は、すでに「ユーザー数もARPUも増やすのが非常に大変」という状況になっています。

そんな中、主要な携帯キャリアがどのように売上収益を増やそうとしているのかを確認するために、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクをいくつかの指標で比較していきます。

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MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣

シバタナオキ

noteで好評連載中の「決算が読めるようになるノート」を、ビジネスモデル別に再編集した書籍『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』。この連載では、本書の中身や、noteのコンテンツを書籍化した際の裏話などをご紹介していきます。

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