リー・クアンユー(シンガポール初代首相)
【第2回】西洋と華人の価値観のはざまで

悪の親玉としてイメージされがちな「独裁者」たち。この連載では、世界を代表する独裁者たちが、若い頃にどのような知識や価値観、思想などの「教養」を得て、それをどう国家支配に反映させたのかを読み解いてゆきます。今回は、「庭園都市」をつくったリー・クアンユーが海峡植民地でどのように育ち、歴史の激動に巻き込まれて行ったのかに注目します。(『独裁者の教養』より)

リー・クアンユーは、日本で関東大震災が発生した1923年に生まれている。5人兄妹の長男で、小説家の司馬遼太郎や台湾の元総統・李登輝と同じ歳だ。

出生地は英領シンガポールのカンポン・ジャワ通り。実家は客家(ハッカ)系の華僑だが、先祖が中国の広東省からマレー半島に移住したのはリーが生まれる60年前のことで、中国との関わりは薄かった。

リー家の大黒柱は、祖父の李雲龍(リー・ホンロン)である。彼はシンガポールの名門校・ラッフルズ学院中等部で英語教育を受け、英国船の船乗りを経て豪商となった。当時の現地で最高級のデパートだったジョン・リトルの上客で、服装や生活様式も英国スタイルを貫く洋風紳士だったという。

リーの出生時、「李光耀」(リー・クアンユー)という漢字名のほかに、「ハリー」という英語名を付けたのも祖父だ。リーは彼に懐いており、英国船の規律の厳しさや、それを守ることの重要性を聞かされて育った。

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独裁者の教養

安田峰俊

悪の親玉としてイメージされがちな「独裁者」たち。しかし、彼らは優れていたからこそ「独裁」を行えたはずです。そこで、この連載では、世界を代表する独裁者たちが、若い頃にどのような知識や価値観、思想などの「教養」を得て、それをどう国家支配に...もっと読む

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