神田松之丞“絶滅危惧職”講談師を生きる!

第十二回 おまえは寄席育ちだからな

東京の演芸界では、若手の男性講談師が希少な存在である。神田松之丞は、絶滅危惧職と言っていいほどに成り手の少なくなった、その講談師だ。真打という近い未来を見据えて、彼はこれからどこに向おうとしているのだろうか。


撮影・青木登(新潮社写真部)

 おそらく、狭義の講談ファンが松之丞に感じるであろう違和の根源もそのへんにある。講談という世界を深く愛してはいるが、古いファンが思うような純粋培養の講談師ではないのだ。しかし「寄席育ち」という出自が、現代のファンと切り結ぶ上での強い武器となっていることもまた事実である。その微妙な齟齬も、松之丞は十分に意識している。

「僕は二ツ目に上がった直後から師匠との親子会を始めたんですよ。というのも、師匠の中には僕に対する不信感があるように感じていたんです。こいつは連続物を大事にしているのか、とか、寄席育ちだから十分、十五分のやり方ばかり学んじゃって、講談に対してはどう思ってるんだ、とか。そこで僕がどうかというのを師匠に示すには、自分の講談を聴いてもらうしかなかったんです。親子会では師匠と連続物をリレーでやりました。当然僕が前でやるわけですから、ちゃんと読まないと師匠につなげないわけですよ。僕が駄目なら師匠も崩れてしまう。それを隔月でずっとやっています。これでかなり信頼されましたね。なにしろ前座の仕事っぷりがだめでしたから、かなりいい加減なやつだとそれまでは思われていたはずなんです。それを親子会で改められた。僕の講談を聴いて師匠は『あ、こういうことをやりたいのか。じゃあ、俺の言ってることもわかってるな』と伝わったはずなんです」

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新潮社
2017-09-15

この連載について

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神田松之丞“絶滅危惧職”講談師を生きる!

神田松之丞 /新潮社yom yom編集部 /杉江松恋

ここ数年、演芸ファンの注目を集め続けている男がいる。 神田松之丞、1983年生まれの33歳。90年代以降、東京の講談界では入門者の多くが女性であり、日本講談協会にも、もう一つの講談団体である講談協会にも、彼以降に入門して現在まで現...もっと読む

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nonatsuclover https://t.co/xPw8SYkAJa 約3年前 replyretweetfavorite

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