素朴な質問をしただけなのに、相手が逃げ腰に!
いったいなぜ??
連載第1回ではなかなか契約が取れなかった後輩くんですが、その後、いくつか契約を取ってくるまでになり、あなたもホッとひと安心。
……しかし、喜んだのもつかの間。
ある日、またしてもションボリとした後輩くんが「A社の件、契約をキャンセルされちゃいました……」と報告してきました。
驚いたあなたは、思わずこう尋ねます。
「え? 契約落としちゃったの? なぜ?」
あなたとしては、どんなトラブルがあったのか、素朴に事情を聞きたいだけ。ところがションボリくんは「ぼくにもよくわからないんです。なんか先方からクレームがあったみたいで……」と半泣きです。
どうすれば、状況を聞き出すことができるのでしょう?
ひたすら「なぜ」でたたみかけていませんか?
ションボリくんがなぜ契約を落とすことになってしまったか、なんとか状況をさぐろうとするあなた。
しかし、ションボリくんはアタフタするばかりで、まともな答えが返ってきません。
「せっかく助けてやろうとしているのに……」と、ついイラッとしてしまったあなたは、さらにこうたたみかけます。
「なぜそんなことになったかって、聞いてるんだよ!」
するとションボリくんは、タジタジと後ずさって、ついになにも答えられなくなってしまいました。
「なぜなぜさん」は相手のストレスになる!
ここでもう一度、あなたの質問を見なおしてみましょう。
「なぜ契約を落としたのか?」「なぜそんなことになったのか?」
……いかがでしょう? どちらも「なぜ」で始まっていますね。
実はこの「なぜ」こそがトラブルのもと。
「なぜ」を安易にくりかえす「なぜなぜさん」は、相手にとんでもないストレスをかけてしまうことがあるんです。
「なぜ」で始まる質問は、単純に見えて、実は「どんな答えが求められているのかわかりづらい」場合があります。
例えば、誰かからこんな世間話をふられたとしましょう。
相手 「藤井四段が29連勝したそうですね」
あなた「すごいですよね」
相手 「なぜそんなに強いんですかね?」
あなた「さぁ……天才なんじゃないですかね」
相手 「ふーむ。天才ってなぜ生まれてくるんでしょうね?」
……「そんなこと知るか〜‼」と叫びたくなりませんか?(笑)
そもそも、相手が何を聞きたがっているのかがよくわかりません。
藤井四段の戦術について知りたいのか、あるいはどんな勉強をしてきたかを知りたいのか、はたまた「天才の定義」を知りたいのか……。
このように「答えるべきポイントがわからない」質問は、相手に大きな負担をかけてしまいます。
「懐中電灯型」のなぜを「レーザーポインター型」に変換!
ションボリくんがあなたの「なぜ」に答えられなかったのは、「質問から、答えるべきポイントが見つけられなかった」から。
このようなときは、「質問のポイント」をしぼる必要があります。つまり、懐中電灯のように広がった光を、レーザーポインターのようにしぼりこむんです。
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