傑作書き下ろし!
「もうレシピ本はいらない 人生を変える最強の食卓」
「栗ご飯」をいともカンタンに作る方法
みなさまこんにちは。柄にもなく仕事をしすぎたせいかトツゼン歯が痛くなり、近所の歯医者さんに駆け込んだら想定外のイケメン医で苦しい中にも楽しみを見出したイナガキです。人生は泣いて笑って暮れていく(アフロ心の一句)。
えー、それはさておき。
いつも思うんですが、夏から秋への転換って実に劇的です。なんかね、こうクルっと変わる。例えるならば、昨日までえらくしつこく言い寄ってきて辟易とさせられていたオトコが何の前兆もなくある日突然後ろを向いて「じゃーねー」と去っていくかの如し。あらっ、そ、そうなの?? いやいやいいんだけどね別に……し、しかし一体昨日までのあの情熱はどこへ……などと思ったりするわけです。どうにも釈然としないというか……要するに、寂しい。
そう、秋は寂しいのです。
一方で、美味しいものがわんさか出てくるのも秋。
つまりは寂しいんだか嬉しいんだかよくわかんない。
ああきっとそうなのです。それはきっと寛大なる大自然様が、哀れな人間どもに寂しさを少しでも忘れさせようと気を使ってくれてるんじゃないでしょうか。
というわけで、秋の味覚は存分に楽しまなければなりません。
で、秋の美味しいものといえば、何と言ってもコメです!
しかしコメ以外にもいろいろと目移りするものが……。とても食べ切れん。っていうか無理に食べきろうとすると太ります。食欲の秋です。
なので私は、秋になるとせっせと「炊き込みご飯」に精を出すのであります。炊き込みってご飯におかずが入っているから美味しいのはもちろん、実に楽チンです。で、そのおかずを秋の味覚にすればもう心も体も大満足。あとは味噌汁とぬか漬けだけでパーフェクトに十分。手抜きでもなんでもない。心に一点の曇りもなし!
で、今年早速作ったのが……
栗ご飯!!
でもね、栗ご飯って、もう聞いただけで「めんどくせえ……」という方も少なくないのではないでしょうか。
確かに私も子供の頃、我が母が必死で栗の固い皮を手を傷だらけにしながらむくのを手伝った記憶があります。爪の中に皮が突き刺さるわ、爪が真っ黒になるわで、楽しみの前には苦行が存在するという人生の教訓が幼心にしっかりと刻まれたのでありました。
さらにこれではまだ終わらない。鬼皮をむいても栗にはまだ「渋皮」というものがピッチリとくっついておりまして、母がその渋皮を包丁で綺麗にむき終わった頃には立派だった栗もなんだえらくちびっこくなってしまって、ああやはり生きていくことは簡単ではないのだとこれまたシミジミ考えさせられたのであります。
というわけで、栗ご飯は大好きなのですが、社会人になって一人暮らしを始めてからは、まさか自分一人のためにそこまでの労力をかける気には全くならず、そのまま何十年も過ごして参りました。
ところが数年前、事態は一変したのです。
鬼皮だけむいたら、そのまま炊く
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