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愛は、……恋愛に限らず、人と本気で向き合うことは、自分の中にごちゃごちゃに散らかしたままでいたことを、思い切って整理するきっかけをくれると思います。
今回は、「彼女に彼氏がいる。でも別れたくない」とおっしゃる方のご投稿をふまえ、「愛すること」と「執着すること」をどう分別整理するか考えていきたいと思います。
牧村さん。こんにちは。いつも連載拝見させていただき、励みにさせていただいております。
今、私には彼女がいます。私は関東、彼女は関西に住んでいる、遠距離恋愛です。遠距離恋愛というだけでも少し悩みですが、それ以外にも私たちの関係には問題があります。 それは、彼女に彼氏がいるということです。
彼女と彼氏は4年間付き合っており、トキメキを感じるような仲ではもうないようです。けれど彼女は彼のことも愛しており、家族や親友のような存在であるため別れて縁を切るという考えはないようです。 彼女は私のことも愛していると言ってくれていて、彼と性的接触をもってほしくないという約束も守ってくれているようです。
彼女の中では1番も2番もなく、それぞれが唯一で失いたくない大切な存在という認識のようです。 けれど私は約束を守ってくれているという言葉すら信じられないし、彼女の私への愛も信じることができません。私の中の価値観では、やはり1番、2番という区分が明確にあるからです。 そのため、月に1度以上の頻度で喧嘩になってしまう始末です。
現在付き合って約1年になりますが、このまま喧嘩が続くようであれば付き合っていても意味がないのでは、と思います。私はやはり私だけを愛して欲しいし、彼氏がいるのに私と付き合っているというのは虚しく感じます。
彼女はいずれ彼氏とは結婚するつもりだし、親の為に子供も産むかもしれない。という考えでいます。そのことも私はとても嫌です。けれどまだ彼女のことを好きだし、別れたくはありません。もうどうしたらよいのか分からず、ずっと苦しい状態が続いています。 もしよろしければ、アドバイスをいただければ幸いです。
(一部編集の上、掲載しました)
別れましょう。
自分を大切にしてくれない人からは離れて、自分で自分を大切にしましょう。
いや、ご投稿者の方が「好き」とおっしゃるそのお気持ちを否定したくはないんです。けれどね、ちょっと、あの……、……うーん。って思うんですよ。それ、本当に、「好き」、と呼ぶべきものでしょうか?
ご投稿文に書いてくださったことを拾い上げましょうか。
「信じることができません」
「虚しく感じます」
「彼と性的接触を持って欲しくない」
「(彼女が彼氏と結婚・出産するというのは)とても嫌です」
私個人の言語感覚では、こういう気持ちを「好き」とは呼ばないことにしています。これが悩み相談の文章であることを差し引いて考えても……こういう、決して明るいとは言えない感情を、 「好き!」っていう仮面で覆い隠してしまうことは、心の健康上やめたほうがいいことだと私は思うの。
では、なんと呼ぶか。
私はこれ、「執着」と呼んだほうがいいんじゃないかと思うんですよね。
「好き」と「執着」は、混同しがちなものです。また、自分が「好き」だと思っている気持ちが「執着」であると認めることも、とてもとても勇気がいることです。でも、だからこそ、勇気を持って前に進みたいと私は思う。あなたにもあなたの価値観があるでしょうが、私は「好き」と「執着」をこのように整理します。
「好き」は受容。「執着」は我慢。
「好き」は信頼。「執着」は
「好き」は自立的。「執着」は依存的。
「好き」は、求めないこと。「執着」は、求めること。
「好き」は、相手をもっと好きになりたい気持ち。
「執着」は、自分がもっと好かれたい気持ち。
「好き」は、自分も相手も自由であることの喜び。
「執着」は、相手が自分の思い通りにならない憤り。
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