休みは仕事のエピソードゼロ」…って、何それ???

ある日、エゴサーチで自分の悪口を見つけてしまった天津・向清太朗さん。「天津・向、全然面白くない」という書き込みに、怒りと疲れから思わずケンカを売ってしまいます。ところが、その人から思わぬ返信。その返信は無視するものの、焦って慌てる向さん。そんな向さんを、ある構成作家さんから飲みの誘いが。そこで言われた一言で、向さんの目から鱗が落ちることになります。

嫌われるということは良いことだ


 飲みに誘っていただいた構成作家の方はアニメ周りのことを全くご存知ない様子でしたが、僕のことに興味津々で話を聞いてきます。

「アニメのイベントのMCとかやっているんだって?」

「全然、数は少ないですが、ちょこちょこやらせてもらってます。でもそこでも悩んでいて……。最近、オリジナリティのなさについて考えていて」

「オリジナリティ? キノコ頭で眼鏡かけている人がオリジナリティがない?」

 そりゃ、そう思いますよね。

「いえ、そうではなくて、アニメ系のイベントでのMCをやる時にいかに自分らしさを出せるか考えてて」

「え? ということはアニメ系のMCの人は眼鏡でキノコの人ばかりなの?」

 そう思いますよね。違います。痩せてる眼鏡の方と、痩せてるアナウンサーの方が多いです。

「へー、そういう業界でも悩む部分はあるんだね」

「それに、もう一つ悩みがあって」

 僕は先ほどのアニメ、声優ファンから嫌われる話をすると構成作家の方はふむふむ、と話を聞いています。

「それですごく悩んでまして……」

「ふーん。その話を聞いていると向ってさ、あちらが本気かどうかは別にして、ヘイト集める天才ではあるよね」

「その才能があるのは否定しませんよ」

「なんと言うのかな、それ自体が一つのコーナーみたいになっているというかさ、ヒールレスラーにブーイングするのが礼儀みたいになっている、といえば分かりやすいのかな。俺はそう感じたけど」

「でも……僕…正直、嫌われたくないんですよね」

「いや、本気で嫌っている訳ではないと思うよ。嫌ってたら絶対に無視するだろうし、そうやって悪口を面白い形で言ってくれる人は、味方じゃないかなあ。要はそういう『キャラ付け』がされてしまったんだから」

 言われれば確かに、これは嫌われるという『キャラ』だ。

「だから自分の『嫌われる』というスペックを認めないと。自分のスペックを愛してから、認めてから物事を進めていかないといけないよ」

「なるほど……ありがとうございます! じゃあ、あとはMCにおいての自分らしさを考えないとですね」

「ん? それも解決しているだろ」

 急にそんなことを言われ、僕はビックリしました。

「知らないけどさ、他のMCをやられる人は向みたいに嫌われてはないだろ。少なくともブーイングは……」

「起こりません」

「ならお前の『嫌われる』ということが、MCにおいてのオリジナリティになっているんじゃないかな」

「……その通りです!」

 嫌われるなら、その部分にオリジナリティを出せる。おそらく僕くらい嫌われるMCは他にいない。ならヒールを徹底的にやればいいんだ、ということに気付かせてもらいました。

ちなみにこの構成作家さんは、僕が闇堕ちしている時に「少年漫画で復讐をやっている主人公はいない」と言ってくれた方です。


 そのアドバイスをもとに、僕はヘイトを集めるというアニメ系MCになりました(正確には意識せずともなっていたのですけど)。自分から嫌われにいくという事ではなく、その言われた悪口などをネタに笑いを取り「こいつはこういう人間なんだ」と皆さんに判断してもらう。つまりどういう『キャラ』の人間かをはっきりさせる、ということでした。

それを続けていくと、不思議なことにお客さんの一体感が産まれるようになったのです。


 僕がMCをやるイベントに来たことがある方は分かると思うんですが、僕が舞台に上がっただけで自然とブーイングが起こります。これって、僕がMCのイベントだけではないでしょうか。もし他にいたら教えて欲しいです。そのMCの方とは、朝までお酒が飲めそうです。

 あるイベントでは、僕が出ていっただけでいつものようにブーイングを受けました。それは歌を歌うイベントで、皆がブレードといういろんな色を発する棒を持っていたので「俺に帰れと思っているやつは、ブレード赤にしてみろ」と言ってみました。そしたらまあ、赤になるのが速い速い。なんか逆に綺麗だなと思ったくらいの赤っぷりでした。


 でもそれって、多数の人間がそういう『ノリ』でやってくれていると分かるんです。だって本当に僕のことがいやなら、逆に赤にしたくないですもんね。嫌いな人に言われたことは、やらないと思うんです。

 愛を感じるといいますか。

 ブーイングもイベントの一つのフックになっているというか。それがお客さんにとって楽しい一つの体験になれば、僕も嬉しいなと思います。


 嫌われ者スタンスを取ることによって、他ではない一体感と笑いを生むことが出来るようになり、アニメ系のMCの仕事が増えて、収入がまたアップしました。


 ただ、ここ最近のアニメ系のMCではブーイングが減っています。どういうことでしょう。これはキャラを奪われています。またキャラがなくなるという迷走をしてしまいますので、これを読んでいる皆さん、ブーイングよろしくお願いします。


嫌われるならとことんまで嫌われることで個性になる


 アニメ系のイベントMC  +60万円

 合計年収   +135万円

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かつて一世を風靡した「あると思います!」のエロ詩吟でおなじみ、天津・木村“じゃない方芸人“の天津・向清太朗。世間では【売れてない芸人】と思われている彼の年収は、800万円です。テレビで見ることは、ほとんどない。昔、大ウケしたネタがある...もっと読む

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コメント

Jay_spiritless 嫌すぎてラジオ聞かなくなってしまった 2年以上前 replyretweetfavorite

hamakihito この連載むちゃくちゃ面白い。 約3年前 replyretweetfavorite