東北大震災で考えた、本当の親孝行

今回ご紹介するのは、前回に引き続き、パリで花を扱う「フローリスト」として活動している大類優子さんです。日本を飛び出し、パリで花を学び始めた大類さんでしたが、その道程は平坦ではありませんでした。彼女が異国でのコミュニケーションの困難を乗り越え、パリで生きる決断をするまでの心境の変化について伺いました。

ここ最近、パリに住む日本人女性にインタビューしているパリジャン十色。先週紹介したのは、パリに来るまでは他人や世間の目を気にしてしまっていた、というフローリストの大類優子さん。彼女が憧れのパリに来て、パリ・スタイルの花の世界に触れるまでには、慎重な性格も手伝って、2年という準備期間を要しました。

悲惨なパリの冬が終わり、春がやってきた

彼女がようやっとパリ生活をスタートさせ、有名なパリの花屋で研修できると喜んだのも束の間。予想を遥かに超える海外生活の厳しさに、心身ともに打ちのめされて体調を崩し、残念ながら、研修も継続不可能になってしまいました。

その後、フランス語学校に通いながらも諦めずに次の研修先を探していた大類さん。今度こそ! と門を叩いたお店では、ようやく彼女のパリ生活に、春が訪れたことを実感したといいます。

大類さん 二件目のお店では、同僚にも仕事にも恵まれることになりました。今でも付き合いのあるフランス人のフローリストの友人たちとも、この職場で出会えました。 また、私がどんな仕事でも進んでやっていたからか、どんどん仕事を任せてもらい、花にも触らせてもらえる環境でした。

またここでの仕事は、パリの有名ブランドのブティック店や、フランス人女優のアパルトマンに出向いての活け込みなどで、私がまさに憧れていたパリのエスプリを感じられる環境があったんです。


今回インタビューに応じてくれた、フローリストの大類優子さん。

気がつけば厳しいパリの冬は去り、あたたかな春がやってきていました。そしてその頃には、大類さんのパリ生活も仕事も充実し、楽しくなっていたそうです。ところが、不運にも恵まれた環境は長く続かず、お店の経営形態の変化や契約の終了で、お店を辞めることになってしまいました。

フランスで働く決意と、予想外の困難

大類さん 当初予定していたパリ滞在期間の半年は過ぎ、ビザの残り期間も迫っていたし、そろそろ日本で働いていた元の職場に戻ろうかと考えはじめていました。ところが、前の職場に連絡を取っても、私が戻れるポストはもう残っていないと知りました。

この時、私の代わりはいくらでもいるんだという現実を目の当たりにして、かなりショックを受けました。でも、それと同時に、これはもう「パリで本腰を据えてフローリストとしてやっていけ」ということだな、という強い思いが生まれたのも確かです。

こうしてパリに長く滞在する覚悟を決め、そのためのビザも更新した大類さん。パリでフローリストとして再始動するため、また就職活動をはじめます。この当時、日本でいうハローワークのようなものに登録していた大類さん。彼女のキャリアを見て、コンタクトをとってきた花屋さんがありました。

面接に出向いてみると、「BOBO」と呼ばれるオシャレなパリジャンたちが住まう下町にある有名な花屋さんで、大類さんも知っていたお店だったのです。彼女は縁を感じてここで働きはじめることになります。ところが……。

大類さん アーティスト気質の強いオーナー夫婦が経営する花屋なのですが、ここでは、それまでの私の働き方が、ことごとく否定されてしまうことが続きました。

たとえば、よかれと思って準備した花瓶の水入れも、オーナーにとってみれば「どうして前もって準備するの? ひとつひとつ順番に準備すればいいんだから、そんなことしなくていいのに!」というように、自分の今までのやり方の何もかもが、受け入れてもらえないことが多かったのです。

さらに、同僚たちから意地悪されることも日常茶飯事。悔しくて言い返したくても、どう言い返したらいいのかわかりませんでした。沸き上がってくる怒りで眠れない夜もあったほどです。

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パリジャン十色

中村綾花

“花の都”と称され、雑誌やテレビでもその優雅なイメージが特集されることの多い、フランスの首都・パリ。パンやスイーツはおいしいし、ファッションは最先端だし、歴史ある建物たちも美しいし、住んでいる人もおしゃれな人ばかり……と思いきや、パリ...もっと読む

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