第16回 母の父 【あるキモい男の出自 ④】

まさに、人に歴史あり。二村さんのAV監督としての人生に多大なる影響を与えたお母様・フミエさんについて書かれた前回に引き続き、今回のテーマはフミエさんの父、つまり二村さんのお祖父さん・キチジさんについて。大正時代に大阪で評判だった江戸前寿司屋を経営していたという祖父・キチジさんですが、そのお店の名前や行動が、なんとも衝撃的です!

フミエの父・キチジが大正末期に大阪で経営した江戸前寿司屋は、ミナミの角座の近くにあって、店の名前は『ちんころ』といった。店名を聞いたとき「キチジ、あほか」と思ったが、まあ繁盛させたというのだから何もいえない。

フミエの母・ソノが芸者として出ていたのは、東京の新橋だった。

ソノはキチジより10歳以上、年上だったという。

「今から48年前ヒトシを産んだとき、フミエは36歳だった」と前回書いたが、今から84年前フミエを産んだとき、ソノは41歳だった。フミエがヒトシを産んだのとちがって、ソノは初産ではなかった。ソノはキチジと出会う前に、別の男性との間に娘を産んでいた。ハツエという。

ハツエは子どもの頃から芸者になるべく育てられ、新橋のお座敷に出ていたが、19歳のときに結核で亡くなっている。フミエは療養しているハツエしか憶えていないという。

フミエは、療養所のハツエの面影を「ものすごい美人だった!」と語る。「美人とはこういう人のことをいうのか、と思った。それが私のおねえちゃんだった!」とも語る。キチジのことを「ものすごい美男だった! おとうさんが夜のミナミを歩くと女たちがゾロゾロついてきたらしい!」と嬉しそうに自分の手柄のように語るのと同じように、語る。

美男美女なのはいいが、ハツエとキチジは血がつながっていないわけで「似ていた」という話ではなく、ようするに、なぜかフミエは【種ちがいの、夭逝した姉】と【家にあまり帰ってこない父】のことが、大好きだったのだ。

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キモい男、ウザい女。

二村ヒトシ

アダルトビデオ監督・二村ヒトシさんが、男女の関係性を探り、自分自身を語っていく連載です。現代の日本に生きる私たちほぼ全員が「キモチワルい男」であり「めんどくさい女」であるという、恐ろしすぎる【見立て】からはじまるこのお話。なぜ現代の恋...もっと読む

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コメント

larcfortdunord じんわり面白いw 5年弱前 replyretweetfavorite

100lines おもしろいです 5年弱前 replyretweetfavorite

nimurahitoshi 昨日、連載を更新しました。今回は僕の母の父の話です。今から 4/13 18:10 まで全文無料で読めます。それ以降も前半は無料で読めます。https://t.co/g55aU0neQ6 5年弱前 replyretweetfavorite