撮影・青木登(新潮社写真部)
「日本講談協会のほうでも、芸協で昇進するまでは正式な二ツ目とは見なさないというか、仮免みたいな空気はありましたね。時期がずれたのは非常に合理的な判断なんです。二ツ目の披露目がある興行では、出番が終わっても一日残ってなきゃいけない。それが重なると大変だろうから、お前にとってもいいだろうと、周囲に配慮していただいた結果です」
よく知られているが、落語家の場合は前座から二ツ目に昇進するとさまざまな制約が解除される。高座着一つとっても、羽織の着用が許されるなど、大きな違いが出てくるのである。講談の世界ではどうなのだろうか。
「そこは同じで、羽織袴が許されるという。でも最初は袴も自分でつけられなかったですね。人に着せるのはやってましたけど、自分でつけたことはないんで(笑)。やっぱり着流しで高座に上がるとお客さんにも舐めてかかられる節がありましたから、なりが変わるというのはありがたかったですね」