道徳の時間

與那覇潤 vol.4 「中国化」する日本はこの先どうすればいいんでしょうか?

インターネットがあれば部族主義社会の欠点は消えるのではないかと期待する岡田さん。しかし與那覇さんは、中国の例を挙げながら、それに疑問を投げかけます。議論が白熱するうちに日本再生のキーワードとして浮かび上がるのは「ヤンキー」と「オタク」?目が離せない最終回です。

昔からネットワーク社会だった中国

與那覇潤(以下、與那覇) 前回お話しした通り、今の議会政治よりはムラ社会の方が日本人の心性には「フィットしている」とは思います。ただ、ムラ社会の欠点をネットが担保できるとは思えないんですよね。

岡田斗司夫(以下、岡田) なにか理由があるんですか?

與那覇 岡田さんはネットワーク社会を非常に新しいものと考えて、それに期待されていますけど、実は歴史を振り返ってみると、たとえば中国って昔からネットワーク社会なんですよ。

岡田 そうなんですか!

與那覇 親密感に立脚する近くて深いコミュニティ的な人間関係から成立していたのが、江戸時代の日本のムラ社会ですよね。だけど、中国はそれよりも広く浅く、父系血縁のような遠距離の親戚にもアクセスできるコネクションで、人のつながりが作り出されていた。かつ移動の自由が担保されていたので、いわば「血縁ネットワーク社会」が成立していたんです。しかしその上で、道徳と政治が一致した究極の独裁が行なわれていた。

岡田 ああ、中国では皇帝がトップの人徳者ですもんね。それで、地方から国家試験で選抜された人徳者たちが官僚組織となって、皇帝のサポートと監視を行なう。

與那覇 科挙制度ですね。でも、中国ではネットワークが社会の透明性を補って政治がうまく機能していたかというとそんなことはなくて、むしろ弊害が強く出ていた。不道徳に対するバッシングが過剰で、人民裁判も盛んに行なわれました。

岡田 あれって共産主義の制度じゃないんだ。

與那覇 違うんです。たしかに人民裁判って聞くと、文化大革命のときに守旧派の共産党官僚が引きずり出されて民衆から罵声を浴びるものを想像してしまう人が多いとは思います。でも、同じしくみは前近代からあったんですよ。

岡田 へえ、知らなかったです!

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岡田斗司夫

評価経済など新しい資本主義が加速しはじめた21世紀。 そんな新時代の「道徳」とは、一体どんなものでしょうか。 未来社会をサバイブする岡田斗司夫が、 ゲストとともに様々な事例を引用しながら、 現代の「道徳」について考えていきます。 (月...もっと読む

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コメント

loveandzero 「ヤンキーとオタクが手を取り合ったら、日本は世界最先端の国になれると思うんですよ。大体、ヤンキーとオタクってもともとは親和性高いんだよね。PerfumeとかAKB48とか、今アイドルグループが流行ってるけどry」 http://t.co/yTTyoT2k8O 4年弱前 replyretweetfavorite

loveandzero 「実際にいまの日本でも、ネット上の「晒し」や「炎上」が話題になっていますよね? ネットで中国を嫌っている人ほど、そういう中国的な行動が好きなんだなあと、いつも不思議になりますが。」 http://t.co/aJQRpRP7ie 4年弱前 replyretweetfavorite

larcfortdunord 本文にもある「ヤンキーとオタクの共存」を身を以て実践しているわたくし 4年以上前 replyretweetfavorite

gateballism 岡田 世界と関係なく地域で盛り上がりたいと考えているのがヤンキー。それに対して、オタクは地域を見ずに世界を見たいと考えているんです。 5年弱前 replyretweetfavorite