すぐれた小説家とはキングオブルーザーズである

2016年、『QJKJQ』で江戸川乱歩賞を受賞した佐藤究さんが、受賞第1作として『Ank : a mirroring ape』を上梓しました。もともとは純文学作家としてデビューを果たしていた佐藤さんが、エンタテイメント作家に転身して、挑んだものは何だったのか。第4回は、プロレスとしてのエンタテインメント、格闘技と文学、感覚を変えうる物語、についてです。

 純文学、パニック、ミステリー、人類史の起源に迫る知的な議論……「読む楽しさ」を、これでもかと詰め込んであるエンタテインメント
その大作を創り上げるための「決死の闘い」について著者の佐藤究さんに訊いた。

「ブレイクスルーを起こすのはエンタテインメント」—ジャンルを超える

 以前は純文学をやっていて、いまはエンタテインメントをしているから、乗り換えたと見られがちですが、自分のなかではそれほど区別をしていないというのが実際のところ。手法や目指すところは少し違うけれど、どっちにしてもおもしろければそれでいい。その一点では同じです。

 ただ、社会的なインパクトがあって、ブレイクスルーを起こすのはエンタテインメントのほうかなという気はします。

 エンタテインメントとして成立している『2001年宇宙の旅』は、ゴダールの芸術映画とは影響力の広がり方が違いますよね。『ブレードランナー』もエンタテインメントとして認識されますが、観終えたあとに多くの人に実存を問うことができた。

 音楽でいえばジャズにしろビートルズにしてもそうだけど、大衆文化といわれているものにこそ、最先端の実験が起こり得る。それはインターネットの世界でもまさに現在進行形で感じられることでしょう。

 とはいえ、僕自身がエンタテインメントに舵を切ったのは、それまでなかなかうまくいっていなかったという、ただそれだけの理由だったんですけどね。

 純文学を10年くらい書き継いでいたけれど、なかなかブレークしなかった。どうも「ハマっていない」感じで、いっそもうやめようかとも思った。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

人類史の驚異の旅(オデッセイ)へと誘う、世界レベルの超絶エンタテインメント!!

Ank: a mirroring ape

佐藤 究
講談社
2017-08-23

この連載について

初回を読む
文学者の肖像

山内宏泰

文学とは、なんなのか。文学者たちは今をどうとらえ、いかに作品に結実しているのか。言葉に向き合う若き作家たちの「顔が見える」インタビューシリーズです。

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

marekingu #スマートニュース 約3年前 replyretweetfavorite