二大政党制は諦めのシステム
岡田斗司夫(以下、岡田) ヨーロッパ式の民主政治制度が日本に向いていない証拠がぼろぼろと出てきましたね。阪神ファンみたいにやたら文句を言うのも、民主政治に向いていないせいなんでしょうか。
與那覇潤(以下、與那覇) そうだと思います。特に、民主政治の中でも二大政党制は、日本人の純粋主義(完璧主義)的な国民性に一番向いていない。だからあんなに苦労して育てたのに、あっさり壊れちゃった。
岡田 二大政党制のどの辺りが日本人に合っていないんでしょうか?
與那覇 2つの政党に絞って、それ以外の選択肢を全部諦めているところです。選挙に投票する時点で、「どっちかで妥協しろ」と有権者に要求してるんですよ。
岡田 そう言えばそうか!
與那覇 アメリカやイギリスの二大政党制は、「2つの大政党がお互いにプレッシャーをかけて牽制しあえば、そこそこのパフォーマンスは発揮するだろう」という妥協のシステムなんですよ。ところが日本人は完璧主義だから、いつも「どちらか片方が絶対の正義(悪)だ!」と思い込んでいるでしょう? 民主党は2009年には絶対善だったからボロ勝ちして、12年には絶対悪としてボロ負けした。
岡田 うんうん。なんか政治は完璧に機能するのが当然と思っているよね。
與那覇 自分の意見が100%、ダイレクトに政権に届くのが政治だと考えていますよね。だから、じゃあ多党制にすれば、日本でうまく民主政治が機能するかというのも疑問なんです。いくつ政党があっても、絶対何かしらは諦めないと投票できませんから。実際、この前の総選挙は維新の会やら未来の党やら大量の政党が出ましたけど、10以上の選択肢があっても日本人は「投票したい政党がない」なんて言うんですよ。
岡田 多分、一つの政党が自分たちの要望を全部かなえてくれるのがいいんですよ。携帯会社のプラットフォームだっていくつかあるのを面倒くさがるじゃないですか。競合している不合理が許せない。
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