笑福亭鶴瓶VS明石家さんまを語り尽くす

鶴瓶とBIG3はお互いにめちゃめちゃ好きやってこと

「スケベ」というキーワードをもとに、芸人・笑福亭鶴瓶の生き方を深く掘り下げたcakes連載「鶴瓶のスケベ学」。これをまとめた『笑福亭鶴瓶論』(新潮新書)の刊行を記念して、著者のてれびのスキマこと戸部田誠さんと、水道橋博士が発行するメールマガジン『メルマ旬報』で「明石家さんまヒストリー」を連載するエムカクさんが語り合いました。
司会には同じく『メルマ旬報』で「格闘技を創った男~プロモーター野口修評伝~」を連載中の細田昌志さんを迎え、二人が鶴瓶VSさんまそれぞれの魅力を競うように語り合う、トーク代理戦争の開幕です。


左からエムカクさん、てれびのスキマさん、細田昌志さん B&Bにて

鶴瓶の「縁」がはたらいて動き出した連載

細田昌志(以下、細田) 本日は『笑福亭鶴瓶論』についててれびのスキマさんにお話を伺いつつ、明石家さんまさんにくわしいエムカクさんにさんまさんから見た鶴瓶さんも話していただきたいと思います……(エムカクの服装を見て)なんなんですかこれ!

エムカク 一昨日、水道橋博士さんのお誕生日のときに逆にいただいてしまったコートです。『男女7人(夏物語)』のメンバーがデザインされてます。

てれびのスキマ(以下、スキマ) ハハハ。

細田 『笑福亭鶴瓶論』はケイクスでの連載をまとめたものですが、なぜケイクスで鶴瓶師匠について書こうと思われたんでしょう?

笑福亭鶴瓶論 (新潮新書)
『笑福亭鶴瓶論』(新潮新書)

スキマ ケイクスの方から、「なにか連載をやりませんか?」とお声がけいただいていろいろと企画案を出すなかで、余談として「将来、笑福亭鶴瓶のオーラルヒストリーをやりたい。それがライターとしての最終目標」と言ったんですよ。そしたら「それ、やりましょう!」と妙にノッてくれて。僕は内心、「そんな簡単なことじゃないんだけどな……」と思っていたんですが(笑)。

細田 編集者って、すぐ簡単に「やりましょう」って言いますからね(笑)。

スキマ まあそう言ってくれるならやってみるかと。最初から出版社も巻き込んで、出版前提でやらないと難しいお相手なので、企画を新潮社に話を持っていきました。
 でも、鶴瓶さんは本を出されない方なんですよ。内心無理だろうと思いつつ「どうやって交渉しましょうか、鶴瓶さんとつながっている人、誰かいませんかねえ」なんて話していた2日後に、文藝春秋から僕のところにメールが来まして、「『文藝春秋』で『鶴瓶の家族に乾杯』を取材しませんか」と。

細田 おお!

スキマ 鶴瓶さんの収録に密着をしてインタビューする仕事が入って、接点ができるという。鶴瓶さんって縁を大切にする方ですし、驚くような縁のエピソードをたくさんもってらっしゃいますけど、その力はまわりにも及ぶんだなと驚きました。

鶴瓶にこだわっていたわけではない

細田 もともと、スキマさんは笑福亭鶴瓶という人に対して強いこだわりをお持ちだったんですか?

スキマ いや、むしろそんなに思い入れもなく(笑)。『タモリ学』を書いて、「次は誰かなあ」と思ったときに、鶴瓶さんが思い浮かんだんですよね。
 鶴瓶さんって、つねに芸能史の重要なポイントに脇役として存在してるんですよ。落語もやっていて、大阪にもいて、東京に出てきて、っていう、芸人にとって重要なことをぜんぶ経験してる。そんな鶴瓶さんを書くことで、テレビ史や芸能史を俯瞰できるんじゃないかと、もとはそういう発想だったんです。

細田 鶴瓶目線のテレビ史をなぞりたいというか。

スキマ はい。それにはやっぱり本人の言葉がいいだろうということで、ロングインタビューをして、語り下ろしとして書きたかったんですが、やはり実際に取材しても、「誰かが自分のことを書くのはいいけど、自分が本にするのは嫌だ」とおっしゃった。自分で自分を決めつけたくない人なんだと思うんです。
 鶴瓶さんの言葉で語れないのであれば、芸能史を俯瞰するようなものではなく、『タモリ学』のように鶴瓶さんのエピソードや発言を元に鶴瓶さんの人生観や哲学をまとめようということで、こういう形になりました。

細田 エムカクさんは『笑福亭鶴瓶論』を読まれて、率直な感想って?

エムカク おもしろいし、めちゃめちゃ売れてほしいな、ってまず思いました。これが広まることでこういうジャンルの本がたくさん世に出るようになってほしい。ほんまにこれ読んだら、さんまさんのことを……、さんまさんちゃうわ。

細田 エムカクさんやっぱりつい「さんまさん」って言ってしまうんですね(笑)。

エムカク すいません、つい……。これを読んだ方は鶴瓶さんのことをより好きになると思う。それがスキマさんに伝えたいことですね。

細田 スキマさん、どうですか。

スキマ いや、本当に売れてほしいです。

細田 そらあんたは著者やから(笑)。

スキマ いや本当に、世間に届いてほしいです。批判もされるでしょうけど、本当に鶴瓶さんやお笑いを好きな人だけではなく、ちゃんと審査される場に行きたいというのはありますね。

細田 この本の内容を一言で言うと、「鶴瓶師匠はスケベである」と。

スキマ はい。この「スケベ」というキーワードが決まって、うまくいった。

細田 資料を集めている中で「あっ!」と発見した?

スキマ そうですね。あの人は見るからにスケベですし、ご本人が「人見知りしない、場所見知りしない、時間見知りしない。いかにスケベであるかというのが大事だ」と言っているんです。なので、そこを切り口に、と。

細田 人を巻き込むあの姿勢がスケベ心ということですよね。

BIG3と鶴瓶との関係

細田 さんま研究の第一人者であるエムカクさんからご覧になって、鶴瓶師匠の魅力ってどこにあるんでしょうか?

エムカク まずは鶴瓶さんとBIG3の話をしたいんですけど。

細田 たけし、タモリ、さんま。

エムカク はい。6年前に、鶴瓶さんとさんまさんがMBSラジオで特番をされたんですよ。2ショット、ノーCMで生放送でトークをするという。

細田 MBS60周年のときですね。ノーCMっていうのがすごい。

エムカク そうなんですよ。1時間20分くらいしゃべってたんですけど、そのときに鶴瓶さんがね、「BIG3ってすごい、揺るがない」という話をされたんです。そしたらさんまさんが間髪入れずに「鶴瓶兄さんはBIG1でっせ」っておっしゃったんですよね。

細田 おおー。

エムカク ほんまその通りですよね。鶴瓶さんはBIG3の上でも下でもなく、つねに寄り添うポジションにいる。それは、BIG3に愛されて、求められたからだと思うんです。

スキマ (深くうなずく)

エムカク 鶴瓶さんが正確には2回目の東京進出を果たした1986年、このときは鳴り物入りでゴールデンタイムに2番組を持ったんですよね。でも、裏番組の『オレたちひょうきん族』と『天才!たけしの元気が出るテレビ』に完敗して、失意のままフェイドアウトしていくんじゃないかというときに、BIG3が助け舟を出すんです。

細田 本にも出てきますが、日曜8時と土曜8時で、両方の裏にBIG3のメンバーがいたんですよね。

エムカク はい。たけしさんが、鶴瓶さんの番組を制作していたスタッフに、「あいつをこのまま大阪に帰したら、笑われるよ」とおっしゃった。

細田 たけし師匠が。

エムカク さらに、鶴瓶さんが87年『笑っていいとも!』のレギュラーになって、のちにテレビの師匠と呼ぶことになるBIG3のひとり、タモリさんと出会うんですよね。

細田 そのくだりも本に出てきますよね。

エムカク そうなんですよ、ほんまにぜんぶ押さえてはるから。

スキマ フフフ。

エムカク さんまさんはその頃、いろんなメディアで鶴瓶さんの話題を出して、そのキャラクターを広めるんですよ。僕はこれによって鶴瓶さんがBIG1のポジションにいく後押しをされたと思う。
 そして88年、タモリさんと鶴瓶さんが、現『27時間テレビ』、当時は『1億人のテレビ夢列島』と言っていた、ここで総合司会を務めるんですよね。ここでとうとう鶴瓶さんは東京進出を果たしたと言えるんじゃないかと思ってます。そこからはもう、BIG3の助けがなくても鶴瓶さん自身が本当にでっかくなっていく。

細田 一気にしゃべりますねえ(笑)。

エムカク すんません(笑)。とにかく、BIG3も鶴瓶さんをめちゃめちゃ好きやし、鶴瓶さんもBIG3をめちゃめちゃ好きやってことなんです。

細田 東京におってほしいと思ったんでしょうね。

エムカク その後もたくさん番組で共演されてますからね。そして、鶴瓶さんがいなければほんまにテレビ界も寂しくなっていたんじゃないのかなと。

細田 スキマさん、どうですか? そのあたり。

スキマ いや、もう、その通りだと思います。

会場 (笑)

細田 なんかもっとしゃべり(笑)!

スキマ いや、今日ここに来る途中、まさに今話に出たMBS特番の音源を聞いてたんです。2日前の打ち合わせでエムカクさんがこの話をしていたけど、その番組とは知らず、今回のイベントの気分を高めるためにラジオを聞いていたら「BIG1」発言があって、「うわ、これか!」と思いました。さんまさんって、キャラクターをいじるのがすごくうまいんですけど、ほめるのもすごくうまいんですよ。

細田 人をほめるのが。

スキマ そうですね。ほかにもこの特番で、「自分がこんな年齢になっても馬鹿なことをやっている」と鶴瓶さんが嘆いたら、さんまさんが「あんさんは鶴瓶年齢でっせ」って言った。鶴瓶さんに年齢は関係ないんだと。それを聞いた鶴瓶さんは一瞬絶句して、本当にうれしそうなんですよね。本当にさんまさんは相手のツボを突いた発言をするなあって思います。

次回「さんまに勝てない鶴瓶」は9月22日(金)更新予定

構成:釣木文恵


笑福亭鶴瓶とは、〝スケベ〟である—。テレビじゃ絶対語らない、運と縁を引き寄せる「国民的芸人」の人生哲学。

笑福亭鶴瓶論 (新潮新書)
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ミュージシャンはなぜ糟糠の妻を捨てるのか? (イースト新書)
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この連載について

笑福亭鶴瓶VS明石家さんまを語り尽くす

細田昌志 /エムカク /てれびのスキマ(戸部田誠)

「スケベ」というキーワードをもとに、芸人・笑福亭鶴瓶の生き方を深く掘り下げたcakes連載「鶴瓶のスケベ学」。これをまとめた『笑福亭鶴瓶論』(新潮新書)の刊行を記念して、著者のてれびのスキマこと戸部田誠さんと、水道橋博士が発行するメー...もっと読む

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nkimshr0818 |てれびのスキマ(戸部田誠) @u5u /エムカク @m_kac /細田昌志 @kotodamasashi |笑福亭鶴瓶VS明石家さんまを語り尽くす 新しい連載だ。 https://t.co/wOUovcKGax 約1年前 replyretweetfavorite

u5u 先日のエムカクさんとのイベントの模様です! @u5u @m_kac @kotodamasashi  https://t.co/X8DPvop0nN 約1年前 replyretweetfavorite

katsu8 https://t.co/jjgKQEpSKg 約1年前 replyretweetfavorite