お店でワインを買う場所として、「ワイン・ショップ」「コンビニ」「ネット販売」の3つが中心だろう。この3つは、似ているようだけれど、意外に違う。自分のワイン好みや飲み方に合わせて、3つをうまく使い分けられると、ワイン道の黒帯。楽しいワイン生活が待っている。
ワイン・ショップでのワインの選び方
ワインを買う場所として一番多いのがワイン・ショップだろう。専門店でワインを買う場合、最も重要なことは、「ワインに熱心な店」を探すこと。ワインに熱心な店の見分け方として、(1)高級ワイン用の冷蔵セラーや定温加湿室がある、(2)試飲会をするので、店内にバニラや赤い果物の匂いがする、(3)定期的にニュースレターを出していることをチェックすればいい。とはいえ、ワイン専門店は、例外なくワインに超級熱心なので、自宅近くや通勤途中にあるお店をウェブ検索するとよい。
ワイン・ショップには、1本480円の廉価ワインから、書籍でしか見たことがない超高級ワインまで、世界中のワインが並んでいるし、何でも説明してくれるワインの専門家までいる。例えて言えば、歌舞伎座を貸し切りにし、有名俳優が舞台上で演じる『仮名手本忠臣蔵』を隣に座った歌舞伎通の美女から解説を受けながら見る感じ。ぜひ、近くのワイン・ショップへ行き、以下を試してドキドキワクワクしてほしい。
①店員さんに教えてもらおう
ワインの専門店は、パリやニューヨークにある超高級宝石店と同じで、ものすごく敷居が高い(ように見える)。これまでの人生で、私が銀河系で最も敷居が高いと思ったワイン・ショップが、東京の恵比寿にある「ラ・ヴィネ」だ。高級なダーク・スーツに身を包んだ店員さんが重厚なマホガニーのデスクに坐っていて、ものすごいオーラが出ている。宮中晩餐会ってこんな雰囲気だろう。でも、思い切ってお話しをすると、店員さんは気さくで、ワインのことを教えることが大好きなのだ。まず、お店に行って、「ワインのことを教えてください」と正直に言って、店員さんと仲よくなろう。
ワイン・ショップは、ワインを買うだけでなく、いろいろと教えてもらえる。ラベルの雰囲気だけで、高いか安いか全く判断できないのがワインの難しいところ。ラベルを読んで価格や味が分かるようになるには少し修業が必要だけど、店員さんにいろいろ聞けばいい。
ワイン・ショップの店長曰く、「1年前、おどおどして店に来たお客さんが、今では肩で風を切って入店し、『この前、いただいたボルドーですけど、果実味があって、なかなか良かったっすよ』と自信たっぷりに言われると、よくぞそこまでワインを好きになってくれたなぁとものすごく嬉しくなりますね」とのこと。
お店に何度も行って、常連扱いしてもらおう。ワイン・ショップにとって、年に1回、12,000円のワインを購入してくれる客より、毎月1回、1,000円のワインを買ってくれる常連さんの方が圧倒的に嬉しいのだ。
②定温加湿セラーを見学しよう
ワインに熱心な店の奥には、定温加湿の部屋があり、お宝の超高級ワインが寝かせてある(奥に設置するのは、高級ワインに直射日光に当てず、盗難を防止するため)。これがお店の「ご本尊様」なのだ。ぜひ、ありがたく「拝観」させてもらおう。ワイン・ショップの中には、商売を無視して売り上げを高級ワインの収集に注ぎ込み、客に見せて威張りたい店主も少なくない。
この部屋へ入る時は、バッグや鞄を店に預けること。そして、ボトルを手で触らないよう気を付けよう。ボトルを動かすと瓶底に溜まった澱が舞うし、ラベルを手でベタベタ触ると、手の形にカビが生えて商品価値が下がる。
お店が忙しくない時間帯に行って、店員さんに「ご本尊」を見せてもらうといい。店員さんが待ってましたとばかり、細かくワインの説明をしてくれる。
③おススメの廉価ワインを買おう
ワイン・ショップの入り口には、バスケットに入れて「店長おススメの1本。この品質で980円!」と派手なポップをつけて並べてある。「そんな安いワインは美味くない」と思う人が多いが、実は正反対。「安かろう不味かろう」では店の名前が泣く。店のプライドにかけて、コスト・パフォーマンス最高のワインを並べてあるのだ。
この「店長おススメ」のワインを何本か買うと、店員さんも嬉しいし、お値打ちワインも買える。次回、お店に行った時、買ったワインの感想を伝えると、「では、次はこんなワインはいかがですか?」と、好みのワインを薦めてくれるはずだ。
④ 無料で試飲させてもらおう
ワイン・ショップの奥では、セール中のワインを試飲させてくれることが多い。小さいプラスチックのカップで3、4種飲める。ワインの基本用語である「果実味」「凝縮感」「ミネラル感」を飲みながら具体的に教えてくれるのが嬉しい。
コンビニでのワインの選び方
自宅のそばにあるコンビニでも、安くて美味いワインが買える。
お酒を扱っているコンビニには、必ずワインを売っている。ワインを見かけた人は多いと思うけれど、実際に買った人は少ないはず。私も昔は「買わない派」だったが、今はしっかり買っている。「宗旨替え」のきっかけは、あるワイン雑誌での「コンビニのワイン」特集だった。
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