道徳の時間

與那覇潤 vol.2 日本は本当に民主主義国家なんですか?

3.11の衝撃以来、安心感の底が抜けてしまった日本社会。もっとも、今までだって、本当は民主政治がきちんと機能していなかったのではないかと疑問を呈する岡田さん。與那覇さんと対話していくうちに日本人のさまざまな国民性が明らかになり、疑問が確信へと変わります。

民主政治を乗せるインフラは近代以前に固まっている

岡田斗司夫(以下、岡田) 與那覇さんと話していて、果たして日本が本当に民主政治を実現できるのか疑わしくなってきました。

與那覇潤(以下、與那覇) 民主政治とは何かという点自体、人によって意見が分かれるところだと思いますが、ここでは、フランス革命以降に確立された「西洋近代的な議会政治の制度」がきちんと機能していること、という理解で合っていますか?

岡田 はい。

與那覇 僕は、民主政治がうまくいくかは、結局近代以前の伝統に規定されると思っています。ラフにいうと、国民性で決まるということですね。議会政治の制度自体は、時期の早い遅いはあれ、近代以降にヨーロッパ内外に広がっていきました。けれども、日本人が今でも百姓一揆の延長でデモをしているように、それぞれの国の政治文化は民主政治が入る以前に固まってしまっているんです。民主政治は、その西洋化以前の国民性によってつくられた、社会のインフラの上に乗せていくしかありません。

岡田 そうすると、百姓一揆根性のしみついている日本人は、この先も、行政上の責任のミスの追及としてしか議会政治を行なえないんですねえ。

與那覇 究極的な話、もう政治学より文化人類学の対象だと思うんですよ、日本政治って。天災が起きたら「祭祀に失敗した」ということで、定期的に王様を追い出すことで成り立っていた原初的な社会からほとんど進歩していないんじゃないか、というのが自分の見方ですね。

岡田 橘玲さんともそういう話になりましたが……うーん。

現状維持は悪いこと?

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

ケイクス

この連載について

初回を読む
道徳の時間

岡田斗司夫

評価経済など新しい資本主義が加速しはじめた21世紀。 そんな新時代の「道徳」とは、一体どんなものでしょうか。 未来社会をサバイブする岡田斗司夫が、 ゲストとともに様々な事例を引用しながら、 現代の「道徳」について考えていきます。 (月...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

O_Kohsuke "究極的な話、もう政治学より文化人類学の対象だと思うんですよ、日本政治って。天災が起きたら「祭祀に失敗した」ということで、定期的に王様を追い出すことで成り立っていた原初的な社会からほとんど進歩していないんじゃないか" http://t.co/Ra3cXA541c 4年弱前 replyretweetfavorite

loveandzero 「いわゆる古くからあるアメコミって、アメコミヒーローという自警団が、法の裁きをかいくぐった悪者に対して私刑を加える話じゃないですか。」 http://t.co/lHYFPHouqy 4年以上前 replyretweetfavorite

loveandzero 「プロテスタントとカトリックに分かれて殺し合う宗教戦争を引き起こしてしまったという歴史があります。そこで道徳的な感情を政治に持ち込むことの危険性を自覚して、はじめて政教分離したわけですよ。」 http://t.co/N8FwxgeCUo 4年以上前 replyretweetfavorite

larcfortdunord 歴史=共通の過去=今はない虚構、がいかに現代の重要なファクターとなっているかを示唆する記事ですが、syrup16gの『ラファータ)をBGMにしてお読みくだちい 4年以上前 replyretweetfavorite