また会えたらうれしいけれど、会えなくてもいい

海外旅行が趣味の金田さん。現地の市場や八百屋さんに出向くのを欠かせません。そこでは珍しい野菜だけでなく、野菜の売られ方、食文化の違いにまで驚かされるんだとか。海外で出会った菜園家達との思い出を振り返りながら、金田さんは何を思うのでしょうか?

クウシンサイの葉は食べない

「とにかくすごい風が吹いてるんだよ。畑が心配だよ」

夫が電話の向こうで騒いでいる。

「へ~。じゃあ、行って見てくればいいじゃない」

「そうだけどさ……。とにかくすごい暴風なんだよ!」

「ふーん、そうかい」

と、まるで実感がないのは、私がそのとき外国にいたからだ。

家庭菜園も趣味だが、海外旅行も大好き。お金と時間があまれば、畑は夫にまかせて、ひとりで出かけてしまう。

もともと現地の暮らしを感じる旅が好きなのだが、野菜作りを始めてから、旅の興味もやや変わった。どうしても、まず野菜に目が行ってしまう。

旅先では、必ず市場や八百屋さんをのぞく。その国の人がどんな野菜を食べているのかを見ないと落ち着かない。

インド北部、デラドゥンという町の八百屋さんには、うっとりした。店主が、野菜に囲まれていたからだ。こうした八百屋さんを見るたびに、どうして日本はなんでもビニール袋に入れてしまうのかなと残念になる。


トルコといえばトマト。風土が栽培に適していて、世界でも生産量の多い国だ。イスタンブールでこの光景を見たときは、トルコ人のトマト愛を感じずにはいられなかった。

毎朝、一つ一つ並べるのだろうか。几帳面な夫なら夢中でやるだろうが、私にはたえられない。


こちらは、イスタンブール郊外の田舎町の市場。カボチャをカットして売ってくれるらしい。買った魚をさばいてくれるように、日本にもこのサービスがあれば、消費者は助かるだろう。

市場では、食文化の違いにも驚かされる。

ニューヨークのファーマーズマーケットで見かけたこの野菜は、すべてトウガラシ。実際はこの3倍あった。これだけの種類を、どうやって使い分けているのだろう。


ベトナムでよく食べる野菜といえばクウシンサイ。ベトナム人は、葉をあまり食べない。日本の感覚でいえば、モヤシの根をとるような感じだろうか。取り除いた葉は捨ててしまう。

市場では、あらかじめ葉を取り除いたものも売られている。クウシンサイ炒めは葉がないほうが断然歯ごたえがいいので、ベトナム仕込みで、私も葉は使わない。

土から引っこ抜いた苗!?

珍しい野菜との出合いには興奮する。

アメリカで見かけたのはセロリルート。文字通り「セロリの根」だが、葉や茎を食べるセロリとは種類が違う。皮をむき、千切りにしてドレッシングであえるとおいしいと教えられた。

日本でもタネは手に入るが、セロリが苦手な私には、作っても食べられないだろう。


韓国のソウルでは、食堂で不思議な食感の野菜を食べた。店の人は、カボチャだという。

街のタネ屋さんでタネがないか聞くと、それはズッキーニに似た系統のカボチャだった。(ズッキーニはキュウリではなく、カボチャの仲間だ)

日本の種苗会社もタネを扱っていたので、翌年さっそく作った。チヂミやナムルはもちろん、お味噌汁にしてもおいしい。以来、毎年作っていて、我が家の夏の味だ。

外国でタネを買うと、空港での植物検疫が面倒だ。だからタネや苗は見るだけ。パッケージや売り方の違いもおもしろい。

ニューヨークの園芸店でこれを見たときは、狂喜乱舞した。日本のタネ袋とずいぶん違う。

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シロウト夫婦のズボラ菜園記

金田 妙

毎日、採れたての新鮮な野菜が食卓にのぼる。そんな生活に憧れる人は多いのではないでしょうか。自分で野菜を作れればよいけれど、畑はないし、仕事は忙しいし、週末は遊びたいし…。それでも、思いきって家庭菜園の世界に飛びこんでみたら、おもしろい...もっと読む

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コメント

tomshirai 空芯菜は本当に茎を楽しむもんなのか…! 約3年前 replyretweetfavorite

suerene1 自分が大好きなものがはっきりしていると、旅行しても人と違うものに出会えるよね。→  https://t.co/JaEmqGI8EQ 約3年前 replyretweetfavorite