岡本健 /藤田直哉
これもゾンビですか!?
近年、ゾンビをテーマにした書籍が多く出版されています。ゾンビ自体の面白さ、ゾンビを考えることの面白さとは何なのでしょう。話題書『新世紀ゾンビ論』と『ゾンビ学』の著者による連載4回目のテーマは「これもゾンビですか!?」。多様化する現代のコンテンツには、ゾンビは出てこないがゾンビっぽい作品といえるものが存在します。作品紹介とともに、物語の構造や社会との関係から、その内奥を探ります。

これはゾンビではない 藤田直哉
ゾンビ作品と共通の物語構造
日本のオタクを歓喜させた映画『パシフィック・リム』を監督したギレルモ・デル・トロが、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した。オタク的な感性を持ったギークな監督が、栄誉ある映画の賞を受賞するとは、実にめでたいことである。
「これもゾンビじゃね?」と提案したいのは、その『パシフィック・リム』である。海から出てくる「KAIJYU」相手に、巨大ロボットに乗り込んで戦うこの作品がゾンビ作品のわけないじゃないか。そりゃそうです。その通りです。ゾンビなんか出てきません。分かってます。
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この連載について
岡本健 /藤田直哉
近年、ゾンビをテーマにした学術的な書籍が世界で多く出版されているのをご存知でしょうか。そんな中、2017年春、日本で『新世紀ゾンビ論』、『ゾンビ学』という本格的なゾンビ研究の始まりを告げる本が相次いで刊行されました。ゾンビの面白さ、そ...もっと読む
著者プロフィール
1983年札幌生まれ。東京在住。SF・文芸評論家。二松学舎大学、和光大学、日本映画大学、女子美術大学非常勤講師。
著書に『新世紀ゾンビ論』(筑摩書房)『シン・ゴジラ論』『虚構内存在 筒井康隆と〈新しい《生》の次元〉』(作品社)。編著に『地域アート 美学/制度/日本』(堀之内出版)、『3・11の未来 日本・SF・創造力』(作品社)など。
1983年奈良市生まれ。北海道大学文学部卒業(専攻は認知心理学)、北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院観光創造専攻博士後期課程修了。博士(観光学)。現在、奈良県立大学地域創造学部准教授。単著に『ゾンビ学』(人文書院)、『n次創作観光』(NPO法人北海道冒険芸術出版)、共著に『コンテンツツーリズム研究』(福村出版)、『メディア・コンテンツ論』(ナカニシヤ出版)など。http://researchmap.jp/t-okamoto/