仕事に打ち込んでいたある日「私って、ひとりぼっちだ」と気がついた

今回ご紹介するのは、パリで花を扱う仕事、フローリストとして活動している40歳女性の大類優子さんです。もともと、他人や世間と違うことにビクビクしながら生きてきたという彼女が、どういった理由で日本を飛び出し、パリでフリーのフローリストになったのか。その経緯を伺っていきます。

パリでフローリストになった女性

パリ在住の日本人女性の人生体験を紹介しているパリジャン十色。「パリに住んでいる」というと、とんでもなく勇気がある人だとか、特別な才能を持った人だと思われることがよくあります。でも実際は、日本に住んでいる同世代の女性たちとなんら変わらない、ごく普通の日本人であることがほとんどです。

ただ、彼女たちは日本を離れ、パリという異なった環境で生きることで、日本で生活していた時とは何かしら、気持ちや生き方のうえで変化を体験していることがよくあります。

今回、このインタビュー連載で初めて本名で登場するのは、フローリストの大類優子さん40歳。『La Plume(ラ・プリュム)』という花のアトリエを主催するパリ在住7年目の方です。

フローリストとは、簡単にいえば花を扱う職業のこと。大類さんは主にウェディングのブーケや花冠をはじめ、会場やテーブルのフラワー・アレンジメントなどの制作活動をされています。


大類さんが手がけた花冠の一例

パリでフローリストだなんて素敵!と思われる方も多いでしょうが、実は大類さん自身、大学生の時から花に惹かれつつも、すぐにこの職業に挑戦する勇気もなく、まさか憧れのパリに住むとは夢にも思っていなかったそうです。

さて、そんなちょっと控えめな彼女がどんな風にパリにやってきて、フローリストとして独立するまでになったのか。今回も、じっくりその人生体験を伺っていきます。

やりたいことより、皆と同じことをやるべきだと思っていた

— 最初はフローリストを目指していなかったそうですね?

大類さん 私はもともと、人と違うとか、世間とちょっとでもずれたことをするのが恐いと思うたちだったんですね。昔から横文字のオシャレな仕事に憧れたり、お花が好きで大学生の頃に大好きなパリスタイルのフラワー・アレンジメントを習ってはいたけれど、それを仕事にするのはちょっと無理だろうと思っていたんです。


今回取材に応じてくれた大類さん

せっかく親に4年制の大学まで出させてもらったのだから、他の同級生たちといっしょに就職活動をして、企業に就職するのが一番だと思っていました。なので、就職は一般企業にし、営業職として2年近く働いていたんです。

でも、実際に働いてみたら、やっぱり自分が本当にやりたいこととは違うなと感じて、未経験でも雇ってくれる花屋さんで働きはじめることにしました。

その後、一度冠婚葬祭の会社を経て、フラワー・デザイナーのアシスタントとして、寝る時間もないほどの激務をこなすようになっていった大類さん。しかし、ようやく自分の好きな道に進めたと喜んだのも束の間、不運にも勤め先の経営が傾きはじめたのを察し、自ら離職を選択することになります。

大類さん 数年の間、花の世界で仕事をしてみたのですが、会社勤めの時に比べるとお給料も安いことがほとんどでした。しまいには仕事が続けられるかどうかもわからなくなったことで、やっぱり、会社員に戻った方が安定するのかも、と心細くなってしまった時期でしたね。

そこで、求人情報誌を手にとって、また会社勤めをしようと思っていたら、会社員と同じような待遇の、ウェディング会社でのお花の仕事を見つけたんです。早速面接に出かけて「なんでもやります!」と意気込み、また一から花の仕事をやり直す心構えで働きはじめました。

キャリアを積んで見えてきた原点

このウェディング会社では5年近く勤務し、着実に花の仕事で経験を重ねていくことになった大類さん。大きな仕事が週末にもどんどん舞い込み、休みも少なく朝から晩まで働き詰め。仕事帰りに職場の仲間と飲みに行って日々のストレス発散しては、家に寝に帰るだけの毎日が続きました。とはいえ、仕事が好きでのめり込んでしまう大類さんにとっては、楽しい生活だったといいます。

ところが、キャリアを積んでいったことで、彼女の仕事のスタイルとともに、心境にも少しずつ変化が現れるようになりました。

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パリジャン十色

中村綾花

“花の都”と称され、雑誌やテレビでもその優雅なイメージが特集されることの多い、フランスの首都・パリ。パンやスイーツはおいしいし、ファッションは最先端だし、歴史ある建物たちも美しいし、住んでいる人もおしゃれな人ばかり……と思いきや、パリ...もっと読む

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