「水でいいです」に悲鳴を上げる飲食店
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
最近、飲食店でお客様がドリンクを注文しないで「水でいいです」ということに対して、飲食店経営者たちが悲鳴を上げているのはご存じでしょうか。
この問題、実は日本の飲食業界の構造の問題があるんです。みなさん、夜に飲食店で食事をしようとしたときにお酒を飲ませる店ばかりなことを不思議に感じたことはありませんか? お酒を体質的に受け付けない人や、お酒の場の雰囲気が嫌いな人は、しょっちゅう感じているかもしれないですね。
どうして日本の飲食店の夜の営業が「お酒が基本」になっているかと言いますと、その飲食店の多くが利益率の高いお酒で経営が成立するからなんです。例えば、今から居酒屋や焼鳥屋さんのお客様が全員、いっさいお酒を注文するのをやめたとしますよね。ほとんどのお店が潰れてしまいます。だから飲食店側は「何かドリンクを頼んでほしい」と訴えるわけです。
さて、どうして最近になってこの「水でいいです問題」が浮上してきたのでしょうか。もちろん、時代による変化や景気の問題などがあると思うのですが、僕が考えるのは「年長者が若い人に飲食店の使い方を教えなくなったから」、これだと思います。
昔は居酒屋にいって、「僕は水でいいです」って若い人が答えたら、年長者が「おまえそんな野暮なこと言うなよ。こういうお店ではビールとかレモンサワーとか、飲めなかったらウーロン茶とかを頼んで、料理に合わせるものなんだよ」って感じで言ってたと思うんです。それが今はもうないだけなんだと思います。
だから僕ら年長者が、「若い人をお寿司屋さんに連れて行って、おごって、そして食べ方を教える」とか「バーに若い人を連れて行って、バーのマスターに『彼らうちの会社の若手だから、マスター、彼らがまた来たらよろしくね』って紹介する」というのをしなくなってしまったということだと思うんです。でも、やっぱりそういう時代ではないですよね。こういう時代の流れってしかたないなあ、と長年この仕事をやってきて僕はいつも思います。常識って変わっていくものなんです。