なぜ有川浩の作品は本好きから誤解されやすいのか?

京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う名著を選んでみた。4作目は有川浩の代表作『図書館戦争』。映画化もされたこの作品は、なぜここまで賛否両論に別れるのか。ちなみに、私がこの世で心から憎むのは、つまらない本と、つまらない読み方をする人である。『人生を狂わす名著50』より特別連載。作家、有川浩も推薦! →公開は毎週木・金です。

新しい仕事や新生活を始めた「新人」さんへ

『図書館戦争』有川浩
(KADOKAWA /角川書店)初出2006

本=現実逃避の手段 VS 本=甘やかさずに背中を押してくれる存在

「組織としての正義」と「矛盾に葛藤しながら戦う主人公」。読むたびに励まされ、背筋の伸びる最高のエンタメ小説! #エンタメ小説 #全六冊のシリーズもの #映画化・アニメ化 #「表現の自由」を考える #ラブコメ #ラノベ文体なので読みやすい!  #新入社員さんにもおすすめ! #元気になりたいときに読みたい一冊


 この世で心から憎んでいるものが二つある。
つまらない本と、つまらない読み方をする人である。

 前者のつまらない本については、思う存分罵ることができる。
 ばかっ、てめえのつまらん話を聞くために本を開いたわけじゃねぇっ、もっとおもしろく書けるだろっ、ばかっ。さらに好きな作家さんの新刊がつまらなかったときのズッコケぷりたるや。情けなさと憎悪とで腹が立ちまくり、本にあたる。さ、作者さんのアホ〜〜〜〜! もはや憎しみのお祭り状態である。
 しかし後者は困る。おもしろい本なのにつまらない読み方をしている人間が目の前にいるときほど困ることはない。
 どう考えても素晴らしい小説を誰かが適当な言葉で批評しだしたときなんざ、もう、死っぬほど腹が立つし即座に末代まで祟ってやるリストに名前を放り込むし蹴り倒したろかと思う。が、如何せんなけなしの社会性と頭の回転の遅さが邪魔をして、罵る言葉を口にすることができない。大概苦笑して終わる。しかし内心泣きそうなくらい腹を立てているので、まぁ、相手がそれまでどんなに好きで尊敬している人であったとしても、途端に「こいつは末代まで祟る」リストにぶち込まれるわけである。

 はぁ、つまらん読み方のせいで百年の恋が冷めた経験が私の人生にいくつあっただろーか……。
 そんなわけで紹介するのは、私の人生でなぜか後者に遭遇しまくるきっかけとなった不遇な本である。

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三宅香帆の文学レポート

三宅香帆

『人生を狂わす名著50』(ライツ社刊)著者、三宅香帆による文学レポート。  ふと「いまの文学の流行りをレポート」みたいな内容を書いてみようかなと思い立ちました! なんとなく、音楽や映画だと「ナタリー」みたいな流行をまとめる記事っ...もっと読む

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コメント

amamako 有料公開なので読めないけど図書館戦争を否定する人は「つまらない読み方をする人」 なのかな/ハッシュタグに書かれている言葉がキモい 1年以上前 replyretweetfavorite

kotaroishungry (若干意味違うけど)ノーランも観客を「甘やかさない」らしいし、有川浩も読者を「甘やかさない」し、最近の僕的クリ系ホットワードは「受け手を甘やかさない」。 1年以上前 replyretweetfavorite

ritsu_baki cakes見て読もうと思ったんだった♪次回楽しみ♪ 『オリガ・モリソヴナの反語法』米原万里(集英社)初出2002 2年弱前 replyretweetfavorite

yuma_q 思っていたことを、そのまま、かつ人に伝わるように書いてくれる嬉しさ。この人のおすすめ、読みたい。 2年弱前 replyretweetfavorite