頭で考えていることと、現場で起きることは全然違う
芳麗 前回もお話聞きましたが、16歳から19歳の3年間は、広瀬さんの人生で最も大きく変化した3年と言えますよね。
映画『三度目の殺人』で咲江を演じていた広瀬さんは、これまでとは、まるで別人のように見えました。
広瀬すず(以下、広瀬) えっ、ホントですか? ありがとうございます。
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芳麗 今作『三度目の殺人』は、16歳の時に出演した『海街diary』と同じ是枝監督の作品ですよね。前回の撮影時は、台本をもらわず、監督に当日に撮影する場面を、口伝い教えてもらって挑んだと聞きました。
広瀬 そうなんです。当時は、まだお芝居の経験がほとんどなかったので、台本をもらわずに演じることが特別なことだとも思わなかったですけど。
芳麗 今回は、事前に台本を受け取ったんですか?
広瀬 はい、いただきました。ただ、監督には、この役を理解するためには、「台本に事前に目を通しておいてほしいけど、別に読みこまなくてもいい」とも言われたんです。
芳麗 読んでほしいけど、読み込まなくてもいい?
広瀬 はい。この作品って、いろんなことが複雑だからだと思います。
芳麗 確かに、誰が、なぜ広瀬さん演じる咲江のお父さんを殺したのか、ミステリーの要素があって、少しずついろんなことが明らかになりますね。
広瀬 はい。三隅さん(役所広司)とどんな風に初めて出会うのかとか、出来事の時系列とか。口伝えでは説明するのが難しいことや、事前に理解しておいた方が多い役柄だったから、台本を渡されたんだと思います。
でも、監督に言われた通り、さらっと読んだだけで、深読みはしていません。セリフは入れたけど、ト書きはほぼ読んでいなかったりするし。
芳麗 それはどうしてですか?
広瀬 頭で考えていることと、現場で起きることは全然違うから、その時の状況や相手を目の前にして感じことに身を任せたかったんです。それでもし、違ったら、監督がハッキリ教えてくれると思ったので。
芳麗 監督を信じてるから、現場に身を委ねられたんですね。作り込んで演じるというよりも、ドキュメンタリー的な感覚?
広瀬 そうですね。そこは前回の是枝監督の現場と一緒でした。台本はもらったし、セリフは覚えていたけれど、やり方としては前回と変わらないなと。
演じることを通して、突き抜けることの大切さ
芳麗 台本をもらっても変わらなかったって、興味深いですね。