乗田綾子
だから、中居は稲垣をぶん殴った。
28年間のSMAPの活動とその思いを、数々の言動から振り返り、幼少期から三十代に至るまでのファンの女性の28年の歴史と共に纏めあげ、「アイドルとは、ファンとは何か」を問い直すアイドルとファンのノンフィクション書籍『SMAPと、とあるファンの物語』。本書を先行公開する連載、5回目。先輩たちの背中を追う6人。でも、同じ方法では追い越せない。そもそも、先輩たちを押し上げた「歌番組」が、もうなかった――。
「俺たちはこんなこともやってかなきゃいけないんだ! これから頑張っていくには、ジェットコースターも乗らなきゃいけないんだよ!」
1989年のSMAPは結成から1年を迎えて、いよいよ本格的なメディア進出が始まった。
4月からグループが出演する2本のテレビレギュラーと1本のラジオレギュラーが一斉にスタート。さらには同じタイミングで、グループ名がそのままついた紙パック飲料「SMAP」(森永乳業)のテレビCMも放送が開始される。
件の喧嘩はそんな折、テレビレギュラーの一つ「アイドル共和国」(テレビ朝日)の〝絶叫マシーン体験〟ロケで発生した。
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SMAPの28年間の活動と、とあるファンの女性の28年間。決して交わることはなかった。でも、支えられていた。そんな両者の紆余曲折の歩みから見えてくる、アイドルの“意味”。アイドル文化が生み落とした新世代の書き手によるSMAPとそのファンのノンフィクション。
この連載について
乗田綾子
転校を繰り返し、不登校にもなってしまった。思い焦がれた上京は、失敗した。願ったとおりの現実を生きるのは、難しい。だけど――。小学校低学年から30歳に至るまで、とある女性の人生にずっと寄り添っていたのは、親でも彼氏でもなくアイドルだった...もっと読む
著者プロフィール
1983年生まれ。筆名・小娘で2012年にブログ『小娘のつれづれ』を開設し、2014年からはフリーライターとしても活動。2017年に初の著書『SMAPと、とあるファンの物語』(双葉社)を出版した他、現在は雑誌『月刊エンタメ』『EX大衆』『CDジャーナル』、ウェブメディア『週刊女性PRIME』でも執筆中。
Twitter:@drifter_2181