今度からYOU達、SMAPだから」

28年間のSMAPの活動とその思いを、数々の言動から振り返り、幼少期から三十代に至るまでのファンの女性の28年の歴史とともにまとめあげ、「アイドルとは何か、ファンとは何か」を問い直すアイドルとファンのノンフィクション書籍『SMAPと、とあるファンの物語』。本書を先行公開する連載、その三回目。すでに人気者となっていた光GENJI。スターを確約されたバトンは、6人に手渡された――。

「敦啓、毎日これなの?」

 中居は思わず、隣にいた佐藤敦啓に尋ねた。

「毎日これだけど、いっぱいいすぎて何も言えない」

 これから小田急線に乗って地元の藤沢まで帰ろうとしていた。

 一緒にいる二人の周りを、400人近い群衆がずっと取り囲んでいる。

 デビュー曲『STAR LIGHT』に続いてセカンドシングル『ガラスの十代』でも見事オリコン初登場1位を獲得した光GENJIは、1988年3月の『パラダイス銀河』発売をもって、いよいよ本格的なブレイクを迎える。

 中居はジャニーズ事務所に入った直後からすでに敦啓と仲が良かった。中学が隣同士で、年齢は中居の方が1つ上だが、芸能活動は敦啓の方が半年先輩。どこか居心地がよく、Jr.の頃からレッスンが終わると、自然と一緒に地元まで帰るようになっていた。

 しかしあの時スケートリンクに通い続け、先に光GENJIとして華々しいデビューを飾った敦啓の日常は、それまでと何もかもが変わっていた。

 グループはスケート靴を脱ぐ暇もないほど毎夜どこかの歌番組に出演し、朝は電車が停まるたびに20人、40人、80人とどんどん増えていく追っかけに囲まれながら、学校へと通う。

 レコード店からは入荷とともに光GENJIの作品が消え、履いていたローラースケートは、ついに生産が間に合わないほどの大ブームとなっていた。

「かわいそうになぁ……って思いながら、でも俺はどこかで、うらやましいなって。誰もついて来ないからね」

 しかし一度デビューし損ねた中居を含めて、社長のジャニー喜多川はこの熱狂の機を逃すまいと、すでに次なる秘策を温めていたのだ。

「ローラースケートの後は、全国をスケボーで駆け巡る! 絶対YOU当たるから」

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SMAPの28年間の活動と、とあるファンの女性の28年間。決して交わることはなかった。でも、支えられていた。そんな両者の紆余曲折の歩みから見えてくる、アイドルの“意味”。アイドル文化が生み落とした新世代の書き手によるSMAPとそのファンのノンフィクション。

この連載について

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SMAPとそのファンの物語—あの頃の未来に私たちは立ってはいないけど

乗田綾子

転校を繰り返し、不登校にもなってしまった。思い焦がれた上京は、失敗した。願ったとおりの現実を生きるのは、難しい。だけど――。小学校低学年から30歳に至るまで、とある女性の人生にずっと寄り添っていたのは、親でも彼氏でもなくアイドルだった...もっと読む

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コメント

drifter_2181 【 #森くんと21年ぶりの共演 記念】普通の少年たちが芸能人になった瞬間 「 今度からYOU達、SMAPだから」 12ヶ月前 replyretweetfavorite

drifter_2181 【『#72時間ホンネテレビ 』放送記念・SNS人気バックナンバー1】 |小娘(乗田綾子)| #SMAPとそのファンの物語|cakes 【11/01 23:59まで無料公開中】 https://t.co/wDT6DEoJXM 12ヶ月前 replyretweetfavorite

tii_iakan 普通の男の子たちがSMAPになっていくさまを甘酸っぱい思いで読みました 約1年前 replyretweetfavorite

asmkdy_2 第3回。めっちゃ読みやすいし、内容も面白い 約1年前 replyretweetfavorite