住んでいる場所も年齢も動機もバラバラの6人は、こうして揃った。

28年間のSMAPの活動とその思いを、数々の言動から振り返り、幼少期から三十代に至るまでのファンの女性の28年の歴史とともにまとめあげ、「アイドルとは何か、ファンとは何か」を問い直すアイドルとファンのノンフィクション書籍『SMAPと、とあるファンの物語』。本書を先行公開する連載、その二回目。それぞれの理由と事情を抱え、ジャニーズ事務所に集った6人。“時代の狭間”で、彼らは出会った――。

 光GENJIのデビュー計画が着々と進み、中居が光GENJIのメンバーになり損ねた頃、埼玉の春日部から、背の小さな中学生が父親に連れられてジャニーズ事務所へとやってきた。

 体を動かすことが好きで、剣道、水泳、陸上となんでもこなすようなスポーツ少年だった草彅剛は、中でも体操を得意とし、小学生の時には所属クラブで一躍注目を浴びていた。

 しかし進学した中学の体操部では前転など簡単なことをやらされるばかりで思うようなスキルアップが見込めず、すぐに退部。

 そんな時、彼の目に留まったのが、テレビで華麗にアクロバットを決めながら歌い踊る少年隊の姿だった。

「すっごくカッコいいなって思ったんだ。で、踊りだったら僕にもできるかもしれない」

 いつしか学校でダンスをマネするようになっていた草彅は、自ら進んで事務所へ履歴書を送り、オーディションに見事合格する。

 そしてこの日は正式にジャニーズ事務所に入るということで、ジャニー喜多川から入所に関する細かい説明を受けることになっていた。

 しかし12歳の草彅が気になってしょうがなかったのは、ジャニー喜多川の話よりも、むしろその隣に座る少年のことだった。

 格好がどう見ても派手すぎる。

 見たことのない、ものすごい形のジョッパーズパンツを穿いている。

 しかも柄は赤と黒の太いストライプで、さらにそれが上下揃っていた。

「どこで売ってんだろう!?」

 まるで毒ヘビのような出で立ちの少年はおもむろに立ちあがると、冷蔵庫からジュースを取り出し、草彅に手渡した。

「飲みな」

 これが先輩Jr.・中居正広と、草彅剛の初めての出会いである。

「その頃からファッションは、何着てんのかな? みたいな……」

「〝変なヤンキーだな〟って思って。その時からなんか、ちょっととがってるっていうか、ギラギラしたものはすごくありましたよね」

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SMAPの28年間の活動と、とあるファンの女性の28年間。決して交わることはなかった。でも、支えられていた。そんな両者の紆余曲折の歩みから見えてくる、アイドルの“意味”。アイドル文化が生み落とした新世代の書き手によるSMAPとそのファンのノンフィクション。

この連載について

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SMAPとそのファンの物語—あの頃の未来に私たちは立ってはいないけど

乗田綾子

転校を繰り返し、不登校にもなってしまった。思い焦がれた上京は、失敗した。願ったとおりの現実を生きるのは、難しい。だけど――。小学校低学年から30歳に至るまで、とある女性の人生にずっと寄り添っていたのは、親でも彼氏でもなくアイドルだった...もっと読む

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drifter_2181 【 #森くんと21年ぶりの共演 記念】6人の出会い 「 2年弱前 replyretweetfavorite

vesper_2_7 https://t.co/IZOYWIdtbY 約2年前 replyretweetfavorite

Mako_ocol0406 好きか嫌いかは別にして SMAPを知らない人は居ないと思う! 同世代の人が書いてるってのもあるけど続きが気になる! SMAPとそのファンの物語――あの頃の未来に私たちは立ってはいないけど #cakes https://t.co/cSHqfotBqC 約2年前 replyretweetfavorite

nkimshr0818 |小娘(乗田綾子) @drifter_2181 |SMAPとそのファンの物語――あの頃の未来に私たちは立ってはいないけど 連載第二回更新。 https://t.co/zwCWlKO4Lx 約2年前 replyretweetfavorite