光GENJIのデビュー計画が着々と進み、中居が光GENJIのメンバーになり損ねた頃、埼玉の春日部から、背の小さな中学生が父親に連れられてジャニーズ事務所へとやってきた。
体を動かすことが好きで、剣道、水泳、陸上となんでもこなすようなスポーツ少年だった草彅剛は、中でも体操を得意とし、小学生の時には所属クラブで一躍注目を浴びていた。
しかし進学した中学の体操部では前転など簡単なことをやらされるばかりで思うようなスキルアップが見込めず、すぐに退部。
そんな時、彼の目に留まったのが、テレビで華麗にアクロバットを決めながら歌い踊る少年隊の姿だった。
「すっごくカッコいいなって思ったんだ。で、踊りだったら僕にもできるかもしれない」
いつしか学校でダンスをマネするようになっていた草彅は、自ら進んで事務所へ履歴書を送り、オーディションに見事合格する。
そしてこの日は正式にジャニーズ事務所に入るということで、ジャニー喜多川から入所に関する細かい説明を受けることになっていた。
しかし12歳の草彅が気になってしょうがなかったのは、ジャニー喜多川の話よりも、むしろその隣に座る少年のことだった。
格好がどう見ても派手すぎる。
見たことのない、ものすごい形のジョッパーズパンツを穿いている。
しかも柄は赤と黒の太いストライプで、さらにそれが上下揃っていた。
「どこで売ってんだろう!?」
まるで毒ヘビのような出で立ちの少年はおもむろに立ちあがると、冷蔵庫からジュースを取り出し、草彅に手渡した。
「飲みな」
これが先輩Jr.・中居正広と、草彅剛の初めての出会いである。
「その頃からファッションは、何着てんのかな? みたいな……」
「〝変なヤンキーだな〟って思って。その時からなんか、ちょっととがってるっていうか、ギラギラしたものはすごくありましたよね」