元日本代表のアスリートがなぜ万引きをしたのか
女子マラソン元日本代表選手の原裕美子さんがコンビニエンスストアでの万引き疑惑で逮捕された。私が目にしたメディアやソーシャルメディアの意見は「契約社員で金に困っていたのではないか?」という憶測が混じった野次馬的なものが多かった。
そんななかで、私の目を引いたのが、万引きと摂食障害の関連性を指摘したジャーナリストの江川紹子さんの記事だった。
原さんの事件を知ったとき、私が真っ先に想像したのがこの関連性だった。
江川さんはこう書いている。
〈万引きは、摂食障害にしばしば伴う問題行動として知られており、専門医は「摂食障害患者の万引きの多くは、症状の1つ」と指摘している〉
全米万引き予防協会(NASP)の冒頭の説明もこうだ。
「万引きは、多くの人にとって心理問題であることは明白だ。ほとんどの人が万引きする理由は、物欲や貧困ではない。自分の個人的な葛藤や心理的なニーズなのだ。万引きをする人の約3分の1が抱える最大の心理要因は『抑うつ』である」
摂食障害は、自傷行為などと同様に、背後に深刻な心理問題がある。
江川さんは記事で女子アスリートが摂食障害になりやすいことを指摘しているが、アメリカでも、女子アスリートの摂食障害と心理問題は深刻な問題なのだ。
身近で感じた競技アスリートの苦悩
女子アスリートが、真面目で努力家のエリートであるがために壊れていくのを、私も身近で目撃したことがある。
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