自分一人では思いつくこともなかった『天津・向の4コマトーク』。

満を持して東京進出をしたものの、天津・向清太朗さんを待っていたのは、ただただ暇な時間でした。よしもと芸人の先輩達から様々な金言をもらいながら、なんとか日々を過ごしていた向さん。浮上のきっかけはを、どうやってつかんだのでしょうか?

現状の行き詰まり、そして突破口


 そのころ僕ら天津は『アニメオタク漫才』をやっていました。それは特定のアニメを取り上げネタとして笑いを取るのではなく、こういうオタクいるよな……というステレオタイプのオタクのモノマネをして笑いを取る、という漫才です。

 一部抜粋すると、


「はいどうも天津です。お願いします」

「ちょっと木村氏」

「氏って言うな。なんやねん?」

「今僕は脳内にゆみみちゃんという彼女がいるのでありますが」

「何を言ってるねん! 気持ち悪いこと言うな!」

「ちょっとそのゆみみちゃんを皆さんに紹介したいから、木村氏にゆみみちゃん役をやってもらっていいですかな?」

「なんでやらなあかんねん。気持ち悪い」

「こんな感じであります。……ふに~。ゆみみ、ちょっとおねむだにゃ~。ふに~」

「気持ち悪すぎるわ!」


 というようなネタでした。当時僕は『萌え』と書かれたジャージを着ていまして、髪も伸ばしていました。この形式の漫才を始めた時はお客さんから笑いを取っていましたし、手応えもありました。しかしどうも笑い自体が単発で終わり、あとを引くという感じがないように思いました。それだけではありません。キャラに頼った漫才ということもあり、いつしかお客さんも飽きてきて、僕らもパターンに困ってくるという状況になってきていました。

 自分自身、この漫才の形の限界を感じていたのです。


 何故限界を感じたのか。その理由は今なら分かります。

 僕は漫画もアニメも好きです。今、アニメは1クール(3ヶ月)ごとに、通常60作品以上放送されています。その中で僕は第1話に限れば、50本以上見ています。

 漫画なら『4コマ漫画』が大好きで、4コマ漫画の雑誌を月21冊購読しています。家の一部屋は完全に4コマ漫画で埋まっています。

 4コマ漫画とひとくくりにされますが、ジャンルもたくさんあります。ストーリー4コマ、萌え4コマ、シュール系4コマなどなど、挙げだすとキリがありません。

 4コマ漫画には、4つのコマで全てを伝えなければならないルールがあります。なので無駄な要素をそぎ落とす作業があり、その行為を僕は俳句のように感じ、そこにわびさびを感じるので好きなんです。あの漫画の神様と呼ばれる手塚治虫先生も「4コマ漫画が描ける作家がストーリー漫画を描ける」と言ったくらい、基礎がしっかりしてないといけないというのも素敵です。


 こんなに4コマ漫画もアニメも好きという点でオタクな僕ですが、「ビシビシ」とチョップで友達を突いてみたり、憤りを感じた時に「ぐぬぬぬぬ…右手の黒龍を解放出来れば……」というステレオタイプのことを実際にやったりはしません。なのでどうも噓くさくなっているように思ってしまいます。そしてなによりそういうモノマネをすることによって、僕自身が『オタクをバカにしているような気がする』というのがイヤでした。

 レッドカーペットの時の、タレントのデータを言うネタと、全く同じ手詰まり感だったのです。


 今までやってきた形の先が見えない。

 絶望です。


 そんな時、先輩のはりけ~んず・前田さん、バッファロー吾郎・Aさんの二人のイベントに呼んで頂きました。そのイベントは、自分の好きなものを両名にプレゼンするという内容のライブでした。

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ただのオタクで売れてない芸人で借金300万円あった僕が、年収800万円になった件

向清太朗

かつて一世を風靡した「あると思います!」のエロ詩吟でおなじみ、天津・木村“じゃない方芸人“の天津・向清太朗。世間では【売れてない芸人】と思われている彼の年収は、800万円です。テレビで見ることは、ほとんどない。昔、大ウケしたネタがある...もっと読む

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コメント

hamakihito 好きなことを好きというのは大事だなあ。 2年弱前 replyretweetfavorite

konohamoero 向さんが舞台上でオタクを演じていたのが、ありのままのオタクとして舞台に立つようになったのが転換点ってことなのかな_ 2年弱前 replyretweetfavorite

fuhinemu 好きなことを好きっていうの大事ですよね。 2年弱前 replyretweetfavorite

kow_yoshi そういえば4コマトークやらなくなったね 2年弱前 replyretweetfavorite