彼女と別れた後にすべきこと

彼女と別れたことを親友の土岸に伝えた小森谷くん。当時恋愛絶好調だった土岸に責められたり、何か言われたりしないかと心配していた小森谷くんだったが、土岸が放った言葉とは、予想もできないものだった。
末期がんを宣告された男性の❝ありそうでなかった❞半生を描いた、『小森谷くんが決めたこと』を特別掲載!

 当時、土岸はモテていたし、調子に乗っていた。

 彼女と別れても次の彼女がすぐにでき、女友だちもやたらと多かった。ブルドーザーが荒れ地を均すように、土岸はきまぐれ恋愛オレンジロードを突き進む。

 ──モリ、お前も早く大人になれよ。

 言われる小森谷くんは反発を覚えるものの、何も言い返せることはなかった。土岸の言うこともやることも大人に思え、土岸に追いつかなければ、という思いがあった。

 高校のときからつるんでいる仲間なのだが、悪いセンパイとか兄貴というような感じだった。

「土岸、おれ、高山さんと別れたよ」

「そうか」

 コンビニの弁当を食べ終えた土岸は、残ったパッケージや割り箸をポリ袋に放り込んだ。

「まだおれも、別れたってことを、うまく消化できてないんだけど」

「……ああ」

 目を伏せるようにした土岸は、なかなかこっちを見なかった。

 高山さんは土岸の中学の同級生だし、好意があるらしいよ、と教えてくれたのも土岸だった。

 思いやりが足らない、と厳しく注意されたことは、彼にとって痛恨の経験だ。

 また責められたり、何か言われるかもしれないな、と、彼は身構えていた。だけどどんなことを言われても、今回ばかりは受け入れなければならない。

「高山と付きあって、いい勉強になっただろ」

 顔をあげた土岸は、あっけらかんとしたトーンで続けた。

「じゃあ次、行ってみようか」

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余命2か月といわれた男—小森谷くんが決めたこと

中村航

僕、余命2ヶ月って言われたんですよ。でも、生き残っちゃいましたけど――。末期がんを宣告された30代男性の“ありそうでなかった”半生を、「100回泣くこと」の著者・中村航が小説化!

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