真夜中にホテルのドアを叩いたのは!? 迫りくる麻薬カルテルの脅威

メキシコ到着早々に死体を発見し、激化する麻薬戦争の熾烈さを実感した筆者。地元住民に話を聞いていくと、麻薬カルテル対自警団という構図に疑問が生まれ……!? いまいちばん”トガってる”異色の旅番組『クレイジージャーニー』出演中の危険地帯ジャーナリスト、丸山ゴンザレスが満を持しておくる『世界の混沌を歩く ダークツーリスト』より、戦慄の麻薬戦争ルポをお届けします!

「許されし者」

 ほかにも地元住民へ取材を重ねていくなかで見えてくることもあった。

 自警団が麻薬カルテルと戦う正義の味方というイメージは間違ったものだと気づかされたのだ。

 街の人に自警団の印象を聞くと、「銃を持ち歩いていて怖い」とか「その質問には答えたくない」と言う。

 意味がわからない。多少の批判はあるものと思っていた。それは、カルテルを殲滅できず、いまだに武装を解除できない自警団への批判の類いだと思っていたからだ。ところが、街の声の雲行きは、どうにも怪しい方向に流れていく。

 集めていた情報、街全体から自警団に向けられる視線や取り巻く空気感からも察しはついている。ここから先に踏み込むことは、ヒーローショーの楽屋を覗き見するようなものかもしれない。子供の頃によく遊んでくれてカッコイイと思っていたおじさんが、実は無職のニートであるという素顔を知ったというか、隠された事実を知るというのは、とかく気まずいものだ。

 決定打だったのは、自警団の一斉蜂起のタイミングで麻薬カルテルと派手な銃撃戦になった現場を目撃したという街の女性の言葉だった。

「カルテルについて教えてもらえませんか」
「どっちのカルテル?」

 このひと言で完全に不信感はひとつの線となってつながった。この街の人々にとって自警団とカルテルに違いはない。それは、武器を持っているから怖いといった単純な理由ではないのだ。

 まず、自警団の中には、「許されし者」(※)と呼ばれる麻薬カルテルからの転身組がおり、最近では彼らが自警団内で主導権を握っているというのだ。

※カルテルの構成員のなかには組織を抜けて堅気になろうとする者もいる。彼らは「許されし者」と呼ばれているが、個人ではなく集団で組織から脱退し、自警団に所属しているために、純粋な動機による行動とは思われていない。

 これでは、ライバル企業を買収するために敵対勢力を雇ってしまった挙げ句、その連中に会社を乗っ取られてしまうようなものではないだろうか。

武装する自警団の面々

真夜中の訪問者

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コメント

sarirahira 「メキシコ到着早々に死体を発見し、激化する麻薬戦争の熾烈さを実感した筆者。」 約3年前 replyretweetfavorite

Tatopon5 こわ>「お前、昨日そこの店でタコス食ってたろ」監視していることを暗示する脅し方は、マフィア独特のものである。  約3年前 replyretweetfavorite

marugon 最新刊『世界の混沌〈カオス〉を歩く ダークツーリスト』の本文「メキシコ麻薬戦争編」で真夜中の訪問者があったあたりが現在公開中のケイクスで試し読みできます。 https://t.co/LRuFakrbe1 約3年前 replyretweetfavorite