大学1年生の歩き方

役に立つ人間」からはじめる恋愛も悪くない

「キラキラしたいわけじゃないけど、地味すぎて後悔したくもない」
どことなく不安な新入生の12ヶ月を応援する『大学1年生の歩き方』。第1回は9月からはじまります。トミヤマユキコさんは、大学1年生のこの時期、うまれて初めて恋人ができました。ただ「モテる」ことを目指すのではない、恋愛のヒントとは?
「好きについて回る厄介ごとを払いのけることができないと、好きがどんどんくたびれていくんです。」

モテなくても恋人はできる!?

大学1年の9月にわたしがどうしていたかというと、主に浮かれてました。なぜって、生まれて初めて恋人ができたから!

それは奇跡に近いことでした。というのも、わたしは、大学に入る前からずっと色気のない女子だったからです。中高時代は、コギャルブームの全盛期だったのですが、茶髪やルーズソックスに手を出すこともなく、淡々と女子校に通学。放課後に通っていた予備校には周辺の私立校からやってきたカッコいい男子たちがいたのですが、話したことすらありません。そして、教室で男女混合のグループがワチャワチャやってるのを見ては「みんな第一志望に落ちてしまえ〜」と呪っていました。いわゆる「リア充爆発しろ!」ってやつですね。そんなわたしに恋人ができたのですから、そりゃ浮かれますよ。

でも、わたしは「モテる努力」をしたんじゃないんです。イメチェンもしてなければ、女子力アピールもしていません(4月からずっとノーメイク+ズタボロジーンズで変化なし)。かといって、女なら誰でもいいと思ってるバカな男に引っかかったわけでもない。では、なぜ彼氏ができたのか? それは、好きな人の「役に立つ人間」でいようとしたからです。

恋愛には「性欲ベースの恋愛」と「友情ベースの恋愛」がある

そのままの自分では女として見てもらえない、つまり「性欲ベースの恋愛」では勝ち目がないと考えたわたしは、ひとまず「友情ベースの恋愛」で勝負しようと考えました。たとえ女として見てもらえなくても、人としてそれなりにイイ奴であり、話していておもしろいとか、一緒にいると気が楽だとか、そういう「お役立ち感」によって男の人と親しくなることからはじめようと思ったんですね。

役に立とうと思うあまり、好きな人の恋愛を手助けしたこともあります。告白のタイミングをアドバイスしたり、晴れて恋人になったら邪魔しないようにしたり、フラれそうになったら悩み相談に乗ったり(これはちょっとやりすぎなのでオススメしませんが)—とにかく好きな人の役に立って感謝されたかった。どんな形でもいいから彼の「特別」になりたかったんです。

ただし、お役立ち感をアピールしすぎて、パシりのようにこき使われたり、相手の言いなりになるばっかりではダメなので、そこは細心の注意を払いました。相手にとって耳が痛いことであっても、言うべきことはハッキリ言える関係を目指すことが、なにより大切。いい友だちからはじめて、恋愛関係に持って行こうという算段なのですから、ときには友人として苦言を呈する必要も出て来ます。ここで「嫌われたくない」とか思って中途半端な優しさを発揮すると、おかしなことになるんですよね……。

役に立つ人間→けっこう大事→手放したくない、みたいな感じで友情を愛情に変化させていくこの作戦、少女マンガみたいな胸キュンはあまり期待できませんが、けっこうオススメです。それに、もしフラれちゃったとしても、友情とか誰かの役に立つためのスキルは自分の中にずっと残るんだからいいじゃないですか(って、負け惜しみに聞こえるかもしれないけど、本当にそう思います!)。

大学生の恋愛なんて、いつか必ず終わるし、意味がない、と言う人がいて、確かに否定できない部分もあるのですが、友情ベースで恋愛し、「役に立つ人間」を目指す修行それ自体から学べることはたくさんあります。

誰かの役に立つことは、ただ相手に感謝されるばかりではなく、便利に利用されたり、依存されたり、といった危険をともなっています。こうした危険を回避しつつ、他者と深くかかわり合うことは、恋愛だけでなく、人生にとってとても大切なことです。人生って、好きだけじゃどうにもならないんですよ。むしろ好きについて回る厄介ごとを払いのけることができないと、好きがどんどんくたびれていくんです。実際、わたしもどれだけ好きをくたびれさせ、泣く泣く手放してきたことか……。だから、自分の善意や好意といったパワーをどう使うかについては、早めに修行を始めた方がいい。そう思います。

ということで、大学生の恋愛については、ふたりきりの世界に引きこもる「閉じた恋愛」だけを避けておけばOKということではなく、自分の恋愛が、性欲ベースになりすぎていないかチェックすることも大事なのではないでしょうか。

最後は「人間関係のプロ」が勝つ

モテたい、チヤホヤされたい、いつか自分だけの王子様/お姫様に出会いたい。そういった夢を抱いている恋愛至上主義の人からすると、今回の話はずいぶんとつまらないことでしょう。「役に立つ人間」って何だよ、自分ばっか奉仕するみたいで、なんか損した気分。そう考えたくなるのもよくわかります。

でも、モテまくり、チヤホヤされまくる時間は、いつか必ず終わります。芸能人になれるくらいの顔面偏差値があったとしても、モテ指数は毎年少しずつ目減りしていくものです。

そして、モテから遠ざけられたときに、性別関係なく「人として」他者と接することを知らない人は、人生の迷子になりやすい。実際、加齢にともなってこれまでのモテテクが通用しなくなり、オロオロする人たちをたくさん見てきました。わたしの女友だち(すごい美人)も、20代の頃は黙っていても男の人がチヤホヤしてくれていたのに、30代になったら急にモテがなくなったと嘆いていました。「とりあえず男友だち増やしなよ」と言ったら「異性の友だちって、どうやって作るんだっけ……」と、死んだ目で回答。結局、わたしが友情ベースで思考できる善良な男子を紹介して、飲みに行くように仕向けました。モテることしか知らない人間の末路がこれ……。やはりどれだけモテようが、友情ベースの恋愛も知っておかないとまずいってこと、おわかりいただけましたでしょうか。

このように、性欲ベースの恋愛ばかりしている人は、モテなくなった時に身動きが取れなくなる可能性大です。一方、恋愛を友情ベースで考えることができる人は、仮にモテなくなっても、役に立つ人間としてみんなから必要とされたり、色恋ではない男女関係を構築したりできる。20代からその訓練を始めていれば、30代にはもう「人間関係のプロ」です。

ただ、間違えてほしくないのは、みなさん全員に「恋愛しろ」と言いたいわけじゃないということ。なんとなく、人は恋愛して結婚して子孫を残すのが正しい道、みたいに思われていますが、そうじゃない人生だって尊重されるべきです。でも、もしあなたがちょっとでも恋愛に興味を持っているなら、自分の顔面偏差値や、モテ・非モテに関係なくチャレンジしていいし「意味がない」とか「いつか別れる」とかという呪いの言葉に惑わされることなく、恋愛から生きるための活力や智慧をつかみ取って欲しい。中高校時代は「恋愛=勉強の邪魔」だったかも知れませんが、大学以降はそうでもありません。むしろ恋愛から学んだことは、その後の人生に活かせることばかり—もしもあなたが、恋愛というものを軽んじなければ、ですが。

(著:トミヤマユキコ)

大丈夫、絶対に何とかなる!

大学1年生の歩き方 先輩たちが教える転ばぬ先の12のステップ

トミヤマユキコ,清田隆之,死後くん
左右社; 46判並製版
2017-03-27

この連載について

大学1年生の歩き方

トミヤマユキコ /清田隆之(桃山商事)

「失敗しても大丈夫!」な人生の歩き方とは? 早大助教のトミヤマユキコと、恋バナ収集ユニット桃山商事の清田隆之が、仕事や恋愛、お金やコンプレックスの話まで、自身の黒歴史をさらしつつ語ります。「キラキラしたいわけじゃないけど退屈な学生生活...もっと読む

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OutcenterYOSSHI “キラキラしたいわけじゃないけど、地味すぎて後悔したくもない” こんな価値観っていつから出てきたんだろう?メディアのせい? / (cakes(ケイクス)) https://t.co/KZTtb13d0F #NewsPicks 11ヶ月前 replyretweetfavorite

peach_tea0218 ふむ。 https://t.co/5MtdeYxF7f 11ヶ月前 replyretweetfavorite

sayusha cakesで隔週連載もはじまりました! 11ヶ月前 replyretweetfavorite

hissan_3 連載始まったのか。トミヤマさんの思考面白いなぁ。大学生じゃなくても楽しく読めます https://t.co/P9uAII6KdG 12ヶ月前 replyretweetfavorite