美女入門

男と女の性の偏差値

anan連載の名物エッセイ「美女入門」。シリーズpart15となる最新刊『美女は飽きない』もおかげさまで絶好調! 林さんのパワフル・エッセイの原点を探るシリーズ、今回は「美女入門」part7『美か、さもなくば死を』(文庫本が発売中)から、2005年の1編「男と女の性の偏差値」。お金もルックスも越えて、良くも悪くも人生を総取っかえするほどの爆発力を持つセックスとは。

 昨日は久しぶりの飲み会があり、ちょっと度を越してしまった。

 あまりの気持ちの悪さに、午前五時に目を覚ました。それからはトイレでゲーゲー吐きっぱなし。二日酔いなんて何年ぶりだろう。頭は痛いし気持ちが悪いのに加えて、寝不足のために体がフラフラ。

「ハヤシさん、顔が真っ青ですよ」

 とハタケヤマも驚いた声を出す。そう、長いダイエット生活と中国ハリによって、アルコールにすごく弱い体になっていたのを忘れていた。それでも二人でワイン一本ぐらいは何ともないのだが、昨夜はあきらかに飲み過ぎだったヮ……。

 野菜スープをやっと口に運び、熱い日本茶を何杯も飲んだのだけれども、やっぱり気持ちが悪い。ゲロの波がすぐ近くまで来ているという感じ。今日これから対談があるのにどうしようか、と今、本当に悩んでいる。

 ところで昨夜の飲み会の最中、友人のA氏が酔うと、いつもの威張り文句を口にした。

「僕って、すっごくセックスがうまいんだよ」

 これは別に誰かを口説いてる、というわけではない。無邪気に自慢しているという感じなのだ。このA 氏、T 大卒の超エリートでお金持ち。もちろん奥さんや子どもいる。

「フーゾク行ってき、プレイの後、店外デートを申し込まれるのって、僕ぐらいじゃないのかなァ」

 本当に心から自慢、という様子が聞いていてもそうイヤらしくない。

「ほら僕ってモテるタイプじゃないじゃん。全然」

「そんなことないんじゃないの。エリートだし、お金持ちだし」

「今の女のコは、そんなことでなびかないよ。僕は外見だったら、B さんには絶対負けると思うんだ」

 傍にいるB 氏は確かにカッコいいナイスミドル。

「だけどさ、セックスしたら僕の方が強いと思うよ。勝つと思うんだよな」

 私はなんだかとてもおかしくなった。A 氏にとって、T 大出ているとか、お金持ちということよりも、セックスがうまい、ということの方がずっとずっと価値があることらしい。それを子どものようにエバリまくって、本当にいい人だなあ、と思う。もっともそこにいた四人の女性の誰ひとりとして、

「そんなにうまいんだったら、今度ぜひ……」

 と冗談でも言わなかったのは、ちょっと気の毒だったかもしれない。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

女の人生、「モテ期」に期限なし! 日々美を磨き、新たな出会いのスタンバイ。人生に飽きているヒマはないのです!

美女は飽きない

林真理子
マガジンハウス
2017-06-22

この連載について

初回を読む
美女入門

林真理子

ついに1000回を迎えた、アンアン連載「美女入門」。1997年の第1回には、こんな一文があります。「キレイじゃなければ生きていたってつまらない。思えば私の人生は、キレイになりたい、男の人にモテたいという、この2つのことに集約されている...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

kuma_kuma すっごくセックスがうまい男 | 2年弱前 replyretweetfavorite

moe_sugano やはりソコで突き抜けないと、わたしの枯れ加減もまったく止まらないのかもしれない。。。→ 2年弱前 replyretweetfavorite

fumtandel 渡辺淳一師、曰わく「 2年弱前 replyretweetfavorite

shimadakana うん、わからなくもない(笑) セックスの相性がベストな男とつき合えたら、女は「その男の色に染まってもいい」モードになる(こともある)。... https://t.co/Azsmvk5jxd 2年弱前 replyretweetfavorite