昨日は久しぶりの飲み会があり、ちょっと度を越してしまった。
あまりの気持ちの悪さに、午前五時に目を覚ました。それからはトイレでゲーゲー吐きっぱなし。二日酔いなんて何年ぶりだろう。頭は痛いし気持ちが悪いのに加えて、寝不足のために体がフラフラ。
「ハヤシさん、顔が真っ青ですよ」
とハタケヤマも驚いた声を出す。そう、長いダイエット生活と中国ハリによって、アルコールにすごく弱い体になっていたのを忘れていた。それでも二人でワイン一本ぐらいは何ともないのだが、昨夜はあきらかに飲み過ぎだったヮ……。
野菜スープをやっと口に運び、熱い日本茶を何杯も飲んだのだけれども、やっぱり気持ちが悪い。ゲロの波がすぐ近くまで来ているという感じ。今日これから対談があるのにどうしようか、と今、本当に悩んでいる。
ところで昨夜の飲み会の最中、友人のA氏が酔うと、いつもの威張り文句を口にした。
「僕って、すっごくセックスがうまいんだよ」
これは別に誰かを口説いてる、というわけではない。無邪気に自慢しているという感じなのだ。このA 氏、T 大卒の超エリートでお金持ち。もちろん奥さんや子どもいる。
「フーゾク行ってき、プレイの後、店外デートを申し込まれるのって、僕ぐらいじゃないのかなァ」
本当に心から自慢、という様子が聞いていてもそうイヤらしくない。
「ほら僕ってモテるタイプじゃないじゃん。全然」
「そんなことないんじゃないの。エリートだし、お金持ちだし」
「今の女のコは、そんなことでなびかないよ。僕は外見だったら、B さんには絶対負けると思うんだ」
傍にいるB 氏は確かにカッコいいナイスミドル。
「だけどさ、セックスしたら僕の方が強いと思うよ。勝つと思うんだよな」
私はなんだかとてもおかしくなった。A 氏にとって、T 大出ているとか、お金持ちということよりも、セックスがうまい、ということの方がずっとずっと価値があることらしい。それを子どものようにエバリまくって、本当にいい人だなあ、と思う。もっともそこにいた四人の女性の誰ひとりとして、
「そんなにうまいんだったら、今度ぜひ……」
と冗談でも言わなかったのは、ちょっと気の毒だったかもしれない。